映画鑑賞 13年14年 11年12年 09年10年 07年08年 05年06年 ホーム
これから見る予定の映画  
サロンシネマ この世界の片隅に(12月3日〜)
きみの名は。(12月17日〜)
ヒッチコック/トリュフォー(1月14日〜)

ジムノペディに乱れる(1月28日〜)
八丁座 聖の青春(11月19日〜)
横川シネマ シアター・プノンペン(10月に上映済、だが、再上映が・・)
TOHOシネマズ緑井 きみの名は。(8月26日〜)
広島バルト11
広島での公開は? 築地ワンダーランド

2016年に観た映画、23本。
横川シネマ、7本。 サロンシネマ1、6本。 サロンシネマ2、1本。 
シネツイン、5本。 八丁座壱、2本。 八丁座弐、1本。 
TOHOシネマズ緑井、1本。
ここ6年の推移。52本→49本→33本→27本→22本→23本
相変わらず、映画に行こうという強い気持ちが湧いてきません。それだけ惹き付けられる作品がないのかもしれません。惹き付けられる感性が欠如しているのかもしれません。見ようと思う映画はあるので、2017年は積極的に出かけようと思います。


★★ 秋の理由 横川シネマ
監督の福間健二は詩人でもあり、「秋の理由」という詩集を出している。未読なのでこの映画との絡みはわからないが、詩のような台詞がちりばめられている。また、主人公の苦悩を表すかのような、浮浪者が密集した空間が数回出てくるが、これも詩的なシーンと言える。しかし、さほど効果的とは言えない。テーマが多過ぎ、全体的まとまりに欠け、映画に集中できない。結末から考えると、年取った男の友情を描いているのだろうが、印象に残るのは女優である。寺島しのぶ、いい女になりました。ただ、男と遠慮がちに手を握り合う場面には彼女の魅力が全くでていない。趣里(水谷豊と伊藤蘭の娘だそうです!)、不思議な雰囲気を持っています。将来有望、かな。

★★★ カンパイ!世界が恋する日本酒 サロンシネマ1
日本酒と海外との関係を追求したドキュメンタリー、といえばいいだろうか。様々な人が登場するが、主には三人。一人は、フィリップ・ハーパー、京都の京丹後市久美浜にある木下酒造の杜氏、1966年生まれ、イギリス人。一人は、ジョン・ゴントナー、日本酒伝道師、日本酒についての色々な活動を日米で行っている。1962年生まれ、アメリカ人。この二人、JETプログラム(中高の英語の授業で教える外国人を招聘する計画)で、同じ日に日本に来て(お互い認識はない)、以後住みついている。もう一人は、久慈浩介、岩手の南部美人五代目蔵元。震災後、復興支援のために自粛などしないで日本酒を飲んで、といって一躍有名になった。日本酒普及のために活動を世界に広げている。この三人の生い立ちを描きながら日本酒についての日米の現状を追いかける。映画に出てくることはそれぞれ興味深いが、では、全体として何を言いたいのか、はよく判らない。要は、日本酒を普及させようと云うことだろう。

★★★ ノーマ東京 サロンシネマ1
昨年初め、デンマークのコペンハーゲンにある「ノーマ」というレストランが、東京で期間限定の店を開くということで話題になり、ノーマのことを初めて知りました。食べに行ける訳もなく、どの様なものか知りたくて調べてみると本がありました。「ノーマ 北欧料理の時間と場所」、料理は勿論、食材について、その食材の生産者について、色々と書いてあります。今年になって、映画「ノーマ、世界を変える料理」を見ました。本の内容に近いものです。そしてこの映画。

原題は、ANT ON A SHRIMP えびに載ったアリさん。
東京でレストランを開くまでの準備が主で、最後に完成した料理が紹介されます。地元の食材を使うのがポリシーなので、一年前から日本の食材を探して日本中をまわり、それにあった料理法を探すと云ったことが中心です。途中、料理人が格闘しているのですが、その内容がよく判らないのが難点と云えるでしょう。最後にレネ・レゼピが大活躍するという大団円。さて、その完成した料理を食べたいか、となると、料理に対する情熱に感動はしたものの、そこまで食欲をそそるものではないような感じでした。

★★★ 歌声にのった少年 サロンシネマ1
パレスチナのガザで暮らす少年が歌手として成功するという、実話に基づいた感動的な話。パレスチナ人の俳優(素人を含め)を使い、スタッフもパレスチナ人、ロケもパレスチナ、出来るだけパレスチナを徹底している。当然、パレスチナの映像がたくさん出てくるが、ニュースに出てくるような破壊された町もあれば、美しい自然もある。人々は生活をしている、厳しい生活ではあるが希望も持っている、その夢がこの主人公に託されている。彼も様々な試練を乗り越えて、スターになって世界を変える、という希望を叶える。心を動かされる映画である。少しの脚色はあるが、ストーリーラインはほぼ事実とのこと。監督は初め本人を映画に出そうと考えたが、歌は上手くても演技はダメだったようだ。最後の方に実際の映像が流されるが、本人は俳優よりもいい男だと思った。ムハンマド・アッサーフ、映画でも彼が歌っているのだろう。何しろ歌がいい。中東的と言えばいいのか、不思議な、心にしみる音楽である。ヨーロッパでも売れているそうだ。日本でも紹介したらどうだろうか。原題は The Idol 、邦題と共にイマイチではないか。監督は、ハニ・アブ・アサド、先日見た「オマールの壁」の監督でもある。

★★★ シン・ゴジラ TOHOシネマズ緑井4
「シン」、とは? 「新」、が一番ありそうだが、劇中に「完全生物」といったような表現が出てくるので、「真」や「神」の可能性もありそうです。まあ、色んな意味が込められているのでしょう。
最初は政府の動き、自衛隊の対応、といったことが中心にテンポよく場面が展開します。一般人はほとんど登場しません。描き方は政府や官僚に対して批判的と言っていいでしょう。次第に話がワールドワイドに広がり、石原さとみ演じる不思議な人物まで登場します。結局のところ、日本人の勤勉さ、集団で取り組む力、が発揮され、何とか納めることが出来た終局です。権力者にとってであり、一般市民的ではありませんが。いろいろと考えさせられることはありますが、よく出来た娯楽作品だと思います。次々に個性的な俳優が出て来て、楽しませてくれました。中でも、市川実日子が素晴らしい。一瞬の片桐はいりもよかった。最後に気になったのは、凍結されたゴジラはどうなるのかということです。そこに次に繋がるものが見えたような。ゴジラシリーズ続く、のでしょう。

★★★ 永い言い訳 八丁座壱
原作、脚本、監督、西川美和。主演、本木雅弘。妻を交通事故で失った男が、男二人が、精神的にも、実生活面でも、立ち直っていく物語、といえばいいのか。人気作家の主人公の妻とその友人が崖から転落したバスに乗っていて死ぬ。友人の夫はトラック運転手、子供二人、直情型の判りやすい人物、主人公と好対照。この二人と、子供二人が織りなすドラマである。主人公は妻が死んでも悲しくない、理屈っぽく我が強く傲慢、だが、次第に喪失を受け入れ、普通人に近づく、目出度し目出度し。でもいいのだが、一つ気になる場面があった。主人公が妻の携帯を見て、送信されていないメールを見つける、それには、「もう愛していない。ひとかけらも。」とあり、携帯を投げて壊す。この妻の言葉をどう考えればいいのか、いまだ判らず。

★★★★ 淵に立つ サロンシネマ1
深田晃司、監督・脚本・編集。久し振りにいい映画を見ました。平穏な親子三人家族に一人の男が現れるところから映画は始まります。何となく不穏な気配が少しずつ明らかな形になり、それでも淡々とストーリーは展開していくのです。が、その進め方が実にうまい。意外なようで、当然の帰結のようで、見るものを惹き付けます。ただ、終わり方がどうか、余韻があるようなないような・・・
この監督の作品は初めて、以前話題になった「ほとりの朔子」、二階堂ふみ主演だし、見るべきだった。

★★★ オーバー・フェンス サロンシネマ1
佐藤泰志の原作による三部作の最後。といっても、監督はそれぞれ違っている。「海炭市叙景」、熊切和嘉、「そこのみにて光輝く」、呉美保、そして今作が、山下淳弘。
主演はオダギリ・ジョー、なのでしょう、が、目立ているのは蒼井優、魅力満開です。主な舞台は職業訓練校、そこに集う面々もユニークで、これといってワクワクする大きなストーリーがある訳ではないが、見るものを惹き付ける。松田翔太、北村有起哉、満島真之介、松澤匠、鈴木常吉、優香、といった共演者も素晴らしい。不思議な恋の話が大きな流れだが、どうなるか判らない中での終わり方はうまいと思った。最後にもう一度、蒼井優はすごい!

★★★ ふたりの桃源郷 横川シネマ
山口県の山奥で暮らす老夫婦を、25年間にわたって追い続けたテレビドキュメンタリーシリーズの映画化。映画は、その山奥の空撮から始まる。本当に山奥で、初めは広大な山が映っているだけ。電気も電話も水道もない生活。何故そこで生きているのか、少しずつ語られる。戦前に結婚、その後夫は戦争へ。戦後、食糧確保のためその山奥で生活をしていたが、娘たちのために大阪へ。還暦を過ぎまた山奥へ戻る。夫婦とも93歳まで生きるが、年齢差の分、妻が一人残る。そこに三女夫婦が寄り添う。山での25年に特に物語がある訳ではない。強いて言えば、子供達が二人を山から下ろそうとすることぐらいか。勿論二人は山にとどまるので、子供達も悩む。そして、子供達が山に通う。素晴らしい家族愛。
生きるとは何かを考えさせられた。自分の生活から考えると何もない山だが、生きるために必要なものは揃っているように思えた。また、都会が失ったものが、山には残っていると感じた。
老夫婦が亡くなった後、三女夫婦が畑を受け継ぐ。映画の終わりも空撮で、始まりとは逆に、その畑から遠ざかっていき、深い山々の光景でエンドロール。
今週で終了、と思っていたら、10月に追加上映が決まったようです。人気なのでしょう、この日も30人以上の入りでした。横川シネマとしては多い方、座席がかなり埋まっているという感じです。

★★★ オマールの壁 横川シネマ
パレスティナ人による、パレスティナでロケをした、パレスティナの話。どういうところに壁が作られているのか、結局よく判らないままで終わった。パレスティナ問題は始まりから現状把握も含めて全て難しい。この映画はそれを割と単純化して見せている、と言えるだろう。とはいってもストーリーは複雑である。イスラエル秘密警察の責任者は狡猾である。誰がスパイで、何が策略なのか、スンナリとは見せてくれない。次第に見えてくるもつれた糸は、厳しい彼の地の現実を見るようである。それにしても主人公はタフだ。ラストの衝撃で暗転し音も消え、エンドロールが流れる。奇妙な静寂である。パレスティナ問題をテーマにした映画であり、恋愛映画でもあり、サスペンス映画でもある。それが映画の世界に広がりを与えている反面、深みのない原因にもなっている。困難な映画製作だったのだろう。

★★★ ビハインド・ザ・コーブ 横川シネマ
監督・撮影・編集の八木景子は東京の映画会社の代表、映画「ザ・コーブ」や捕鯨問題に疑義を抱き、映画製作経験も、カメラを回したこともなかったのに、自費を投じて作成した。
太地町での取材(地元の人や活動に来ている反捕鯨団体の面々)、様々な人(「ザ・コーブ」の監督・主演、国際捕鯨委員会の日本代表、科学者、捕鯨専門家など)へのインタビューがうまく纏めてある。総じて日本人から見て好ましい内容である。そして少なくとも、およそドキュメンタリーとは言えない「ザ・コーブ」に比べれば、ドキュメンタリーらしきものになっている。印象に残った「ザ・コーブ」の監督の言葉:私は全ての人が菜食主義者になることを望んでいるだけだ。唖然!
歴史的な経緯(日本だけでなく世界に関して)も一応カバーしている。「ザ・コーブ」にとどまらず、そもそも何故日本が捕鯨問題でバッシングを受けるようになったのか、についての監督の結論は、アメリカがベトナム戦争などで批判にさらされている時、それを逸らすためだった、というものである。これはどうも成る程とは思えない。
監督がアメリカに行った時、ホワイトハウスの前で座り込み(?)をしていたおじさんがとても気になる。何者なのだろう?

★★★ シチズンフォー スノーデンの暴露 シネツイン
シチズンフォー、とはスノーデンが自らに与えたコードネーム。彼はこの名前で映画監督、ポイトラスに接触する。ローラと呼びかけるのだが、最初これもコードネームかと思ってしまった。監督の名前なのだ、予習しておくベだった。もう一人の主要な登場人物が、グレン・グリーンウォルド、機密情報の暴露記事を書いたジャーナリストだ。この三人が香港で会う、まだ何も世の中に出ていない時。そして、これからどうするかを話し合う。だから、この映画の映像は凄いものだ。以降、世に知られていることの裏で起こっていたことを追っていく。解説も、説明的な映像もないので、多少判りにくいのが難点か。とはいえ、凄いドキュメンタリーではある。

★★★ ふきげんな過去 サロンシネマ2
監督脚本は、五反田団の主宰、作家、劇作家、演出家、俳優の、前田司郎、多才な人のようだ。
映画は、主役の一人、二階堂ふみのアップから始まる。石を擦り合わせるような音が絶え間なく流れ、イライラした雰囲気を出している。この音源はすぐに明かされる、そして、最後の方でもう一度効果的に使われる。もう一人の主役は小泉今日子、この二人は、姪=伯母の関係のはずだが、実際は母娘だということが初めから見えている。娘の名前が果子、母の名が未来子、不機嫌な果子とヒョウヒョウとした未来子。過去と未来である。何かのメタファーになっているような、なっていないような。話は、死んだはずの母が18年後にひょっこり現れることで引き起こされる混乱を描く。中心は母の過去である。その解明はある程度進むが、めでたしめでたしという未来は待ってはいない。とはいっても、ラストは二階堂ふみの笑顔のアップである。現実とは思えないシーンもあり、メルヘンチックな描写もあり、全体的には面白い映画になっている、と思う。

★★ ブルックリン 八丁座弐
アイルランドで、母と姉、三人で暮らす女性が、ニューヨークに行って・・・、というお話。根っからの悪人は登場せず、色々な苦難を乗り越え、一応のハッピーエンドと言えるか。難点は、二人の男に愛される主人公が、それに値するか、という疑問。結局一人を選ぶのだが、その描き方が、雑というかご都合主義的。移民社会というアメリカの一面を描いているのは面白い。

★★★★ FAKE 横川シネマ
佐村河内守、を追ったドキュメンタリー。監督・森達也が彼の家に入ってのインタビューが中心になっています。私が途中まで見て思ったのは、彼がある程度耳が聞こえないのは本当のようだということと、一人では作曲できないということだった。彼の主張は、公表した診断書の一部しか見られていないということと、作品が共作ということです。結局、彼はマスコミの恰好の餌食になった。だれが得をしたのか?
映画のビラに、「誰にも言わないでください、衝撃のラスト12分間。」、と書いてあります。言ってしまうと、彼が曲を作っているのです。なかなかいい曲だと思います。彼の部屋でシンセサイザーが響き、彼と妻が聞いている。監督の足が写っているのはご愛敬。その映像に被せて、エンドロールが流れ映画が終わると思っていたら、又インタビューがあります。監督、何か隠していることやウソをついていることはありませんか? これに対して彼は・・・・・、何も答えないで映画が終わるのです! 

★★ ひそひそ星 シネツイン
監督・園子温、ということで、上映一週間だけ19時からの一回のみ、なのですが頑張って見に行きました。しかし、しかしです。SFなのか、ファンタジーなのか、ハチャメチャなのはいいのですが、焦点定まらずで、集中できません。モノクロ画面が福島のところだけで短時間カラーになり、原発事故、人類滅亡、を盛り込もうとしたのでしょうが、空想寄りで訴える力がありません。この映画に関しては、いつもの観客に対するサービス精神が欠けています。そういう意図のようです。神楽坂恵もアンドロイドでは魅力がありません。

★★★ ノーマ、世界を変える料理 シネツイン
昨年、「ノーマ、北欧料理の時間と場所」という本を読みました。それの映画版と言えるでしょう。食材の仕入れ先が本よりは少ないようですが。本よりはスキャンダラスな扱いと感じました。まあ、いずれにしても、すごいレストランだとは思います。

★★★ 蜜のあわれ シネツイン
原作・室生犀星、昔々泉鏡花などと一緒に読んだような気がする? 老作家と金魚の恋! その金魚が二階堂ふみ、なので観に行きました。老作家と関係のあった幽霊まで出て来て、それが真木よう子。老作家が、大杉漣。他に、金魚屋が永瀬正敏、芥川龍之介役に高良健吾。役者陣もなかなか。全体的に幻想的な作品に仕上がっていてそれはそれでいいのですが、二階堂ふみの魅力が十分に引き出せていなかったのが、ファンとしては残念。

★★★ リップヴァンウィンクルの花嫁 シネツイン
主演黒木華、監督岩井俊二、ということで、観に行きました。黒木華、いいですね。あやふやなネットの世界が多く取り入れられ、不思議な存在感を示すのに対して、現実の世界がフワフワしていて、奇妙な対比をなしています。その出来事の因果関係がハッキリ表現されないことにより、現実の不確かさが際立ちます。綾野剛演じる人物がまた物語の不透明さを増幅しています。とはいっても、解釈が難しいことはありません。そのまま素直に受け入れたらいいのでしょう。結構人間の醜さに溢れてはいますが、見終わった後は割とさわやかです。黒木華効果だと思います。

★★ スポットライト 八丁座壱
衝撃的な内容! だが、映画作品としてはどうか?
ボストン・グローブ紙の特集記事「スポットライト」を担当する記者たちと新任局長が、教会という権威に立ち向かうお話。神父による少年への性的虐待を暴く、実際に起こったことを基にしている。記者たちの描写も、事件を追及する流れも、丁寧に、過不足なく表現されている、が、何かが足りない。追求する方に焦点を当てているので、追求される方が通り一遍になっているのは仕方がないのか。
――これを記事にしたら誰が責任を取るんだ。
――では、記事にしない場合の責任は?

トレイラーにも使われているこの台詞、痺れますね。

★★ 牡蠣工場 横川シネマ
岡山の牛窓にある牡蠣工場を取り上げたドキュメンタリー。いくつかの工場が出てくるが、共通しているのは、労働力不足の問題です(特に牡蠣工場だけの問題ではありませんが)。工場の経営者の言葉、世間では働く所がないなんて行っているがここにはいくらでもある、が印象的でした。結局外国人を連れてくるということになります。広島で起きた事件への言及はありますが、ここでは問題は起きていません。まだ、と言うべきかもしれません。もう一つ、東日本大震災との絡みがあります。東北で牡蠣工場をやっていた人が、牛窓で工場を引き継いでいます。しかし残念なことにうまく絡んでいません。全体的に、突っ込みが足らないという印象です。牛窓の人の言葉、ちょっとした監督の質問に対する答え、だけでは問題の所在を掘り下げるのは相当難しいでしょう。

★★★ ヤクザと憲法 横川シネマ
東海テレビ制作のドキュメンタリー。大阪の指定暴力団、二代目東組二代目清勇会を100日間ほど密着取材したものです。意外と言うべきなのかどうか、彼らは割と普通の生活をしています。ちょっと不思議だったのは、女性の姿が全く出て来ないことでした。会長の川口和秀も、20年以上刑務所に入っていたわりには、ヤクザという感じがしない人です。カメラの前だからかもしれませんが。途中で、暴力団の日常から、弁護士の話題が挿入されます。山口組の顧問弁護士、山之内幸夫です。この辺りから、タイトルにある「憲法」が絡んできます。憲法14条です。暴力団に対して、暴力団に関係する人に対して、国家権力は何でもありで攻撃しているようです。暴力団員には人権を認めていない、と思われます。一般人もそれをよしとしているのでしょう。暴力団対策法から20年、暴力団員は減っているようですが、本当の解決になっているのか、空恐ろしくなりました。このような対処の仕方では問題がこじれるような気がします。ではどうすればいいのか。排除ではなく、社会に取り込むことが必要なのでは?

★★★ の・ようなもの のようなもの サロンシネマ1
1981年、森田芳光監督の「の・ようなもの」の続編、のようなもの。「の・ようなもの」を観たかどうか明確な記憶なし。観たとしてもこんな昔のことを覚えているわけもなく、今作との関連は、ストーリーから判断できること以上のことは判らない。それでもなんの問題もなく楽しむことが出来る。まあ喜劇と言えるでしょう。日本的なペーソスもあり、感動もあり、見慣れた顔がチョロチョロ出て来たり、などで、面白い映画です。「の・ようなもの」を難しく考えることもないでしょう。エンドロールで流れる歌がいいのですが、尾藤イサオでした。



2015年に観た映画、22本。
横川シネマ、6本。 サロンシネマ1、6本。 サロンシネマ2、1本。 
シネツイン、3本。 八丁座壱、3本。 八丁座弐、1本。 
イオンシネマ、1本。 TOHOシネマズ緑井、1本(劇場招待券で)。
ここ5年の推移。52本→49本→33本→27本→22本
観たい映画がないわけではありません。ルーティーンワークの中に映画鑑賞の時間を入れるエネルギーが欠如しているのです。変な言い方ですが、要するに、行動力が落ちているのでしょう。2016年は元気を出して、いっぱい映画の世界に浸りたいと思っています。


★★ 一献の系譜 サロンシネマ1
食と農の映画祭2015 in ひろしま(11月28日〜12月4日)で3回のみの上映。能登杜氏を取り上げたドキュメンタリーです。酒・酒造りに興味のない人には面白くないでしょう。隣のおばさんは途中から寝ていました(何故来たのでしょう、フリーパスでも持っていたのかも知れません)。チケットの入場順、73、かなりの入りです。
興味のある私にもチョット期待外れでした。103分のなかに、能登四天王のみならず、多くの杜氏を登場させ、何を伝えたいのかがボンヤリしています。途中酒の造り方の説明が入るのですが、これまた中途半端。この春観た、「千年の一滴 だししょうゆ」の方が、酒だけに関してもよく判る内容でした。この映画、この映画祭でも上映されています。私が観たのは横川シネマ、最近はこちらの方がサロンシネマよりいい映画を取り上げるような感じです。因みに、この映画祭の11本の内、私が判るだけで、3本を既に横川シネマで上映済。頑張れサロンシネマ!



★★★ ハッピーアワー 横川シネマ
ブログと同じ内容です。

広島国際映画祭(11月20日〜23日)で、かねてから見たかった「ハッピーアワー」が上映されました。ロカルノ映画祭で最優秀女優賞を獲得したものです。その四人の女優はプロではなく、演劇のワークショップを数ヶ月受講しただけとのこと。さすがに賞を取るだけあって、なかなかの演技です。ただ、審査員が日本語を理解する人だったらどうか、とは思いました。それは特に男優陣に言えます。登場する人は全員プロではありません。お話は30代後半女性の生き様といったところでしょうか。女性は悩み考え決断するのですが、なんとも男がおかしい。これでは女に捨てられるでしょう。厳密に言うと、終わり方は余韻を残しています。どちらかというと、残しすぎです。当然、観客の想像力に委ねる部分があってもいいとは思いますが、ある程度方向性を示すことも監督の責任ではないでしょうか。

劇場は横川シネマ(こちら)、マイナーだけど面白い作品を取り上げるのます。しかし(だから?)、たいてい観客は10人もいません。先日の「天皇と軍隊」はかなり入っていましたが、それでも半分ぐらいだったでしょうか。それが今日はなんと満員、補助椅子まで出ていました(実は私、入場できない恐れがあるのではと思っていました)。なにせ、日本初上映で今日一日だけ、5時間17分の上映時間、前売り券1500円。来月、舞台となった神戸で先行上映、その後東京を皮切りに順次全国へ、三部構成になっていて、それぞれに料金が必要のようです、広島は映画祭の一日券という形でお得でした。更にお得なことに、監督のトークショーつき。



実際はこんなに大勢。左から、監督、俳優4人、プロデューサー3人。



10時上映開始、30分程度の休憩二回、全て終わったのが17時半近く、とはいえ、そんなに長く感じることもなく、充実した一日でした。

 入場時に貰ったリボン。

★★ 黒衣の刺客 サロンシネマ2
候孝賢(ホウ・シャオシェン)監督作、ということで見に行きました。しかし、チョット期待外れです。話の流れのわかりにくさは相変わらずですが、徐々に明らかになるストーリーに惹き付けるものがありません。私が理解できなかったのかも知れませんが。日本人(妻夫木聡・忽那汐里)が出演している意味も判らないし、結局刺客の何を表現しようとしたのか。カンヌでは何が評価されたのか。間違いないのは、映像のきれいさ、中国(日本?)の景色の素晴らしさ、音楽の美しさ、時に技巧に走りすぎているところも見えますが、凄いと思います。ただ、ホウ・シャオシェンの映画は、過去の経験によると、暫くしてからボディーブローのように効いてきます。数日経つと何か発見(?)するかも知れません。

「当たりはずれの作品お許し下さ」
この記述、下のシネツインの時に気付きました。何時から?
この文通りの意味でしょうが、何故にわざわざ?

★★ ボリショイ・バビロン シネツイン
ボリショイバレー団のドキュメンタリー。音楽監督が硫酸を浴びせられた事件が中心になっている。バビロンとは、あの逸楽と悪徳の都市のことだろう。バレー団がその様な所だということを映画は描く。ただ、感動はない。色々な登場人物の語りも、初めは声だけのことが多く、人物の映像が出てくるときに名前とどういう人かが表示される。顔を見て、字幕と名前を読むのはかなり難しい。バレーの場面もたくさん出てくるが、細切れで、ちょっとキレイと思う程度。私には中心に流れているものがなんなのかよく判らなかった。

★★ 天皇と軍隊 横川シネマ


2009年のフランス映画で、ナレーションもフランス語だが、日本人監督による日本の歴史に関するドキュメンタリー。ヨーロッパなどで公開され、日本では以前短縮版がテレビ放映されたことがあるそうです。ドキュメンタリーといっても様々な映像を集め、学者や評論家のインタビューを挿入したものです。歴史のお勉強みたいになっていて、知らなかったことはあまりありません。時間の順序がバラバラで、その都度見ている側が組み立て直す必要があります。ビラの写真は映画の最後に使われている映像です。昭和22年12月7日、天皇の広島巡幸、撮影したのはGHQ、つまり、天皇の巡幸はGHQが仕組んだもの、集まっている群衆も動員された人たちとのこと。12月7日は真珠湾攻撃の日(アメリカ時間)。映画はこの直前に天皇の会見が映され、広島の原爆は致し方なかった、の言葉が聞かれます。この流れはあざとい。





昨日、福岡で舞台挨拶があり、立ち見が出るほどの盛況だったそうです。こちらは席の半分ぐらい、30数人といったところでしょうか。といっても、横川シネマではかなり多い方です。監督への質問を聞いていると、右寄りの人が多そうでした。終わってから、第7回広島れきべん「政治・経済から見る大東亜戦争」講師:久野潤、というビラを配っている人が居ました。親類に被爆者がいるが、原爆投下は戦争を早く終わらせるために必要だった、という人がいて驚き。天皇の広島巡幸時、知り合いが群衆の中にいなかったか、という監督の問いに、動員されて行った親戚がいる、という人もいました。まあ、そういう人が見に来ているのでしょう。今日は広島に思い入れのある監督の希望による先行上映、本上映は、12月1日から二週間。昭和史を勉強してみようという人にはお勧め。

★★★★ アラヤシキの住人たち 横川シネマ
長野県小谷村にある真木共働学舎の一年ちょっとを記録したドキュメンタリー。共働学舎といったら、チーズで有名な北海道上川郡の新得共働学舎の名前だけを知っているぐらいでした。調べてみると、宮嶋眞一郎という自由学園の教師をしていた人が、長野県小谷村に立屋共働学舎をつくったのが最初で、上記の他に、北海道留萌郡に寧楽共働学舎、東久留米市に南沢共働学舎、合わせて五カ所あるようです。映画の舞台となった真木共働学舎は立屋共働学舎から山道を一時間半、歩いて行くしかない山奥にあります。宮嶋信(眞一郎の次男)が代表を務めています(因みに、長男望は新得共働学舎の代表、二人とも自由学園出身)。ここまで書くと、キリスト教の影響が多くありそうに思われますが、そんなに強くはありません。どちらかというと、私は原始共産主義的なものを感じました。映画のビラには、「世界はたくさん、人類はみな他人」、映画の中では、「競争社会よりも協力社会を」、とあり、イデオロギー的なものは希薄で、あるがままにお互いを受け入れ、不思議な集団が形成されています。自然がもっている時間流れに沿っての生活、一つの理想です、が、残念ながら私には出来ないと思いました。

★★ 日本のいちばん長い日 八丁座壱
広島ホームテレビ、ポルポルクラブのポイントで試写会をゲット。地方で初めての舞台挨拶付きです。登壇したのは、監督の原田眞人、阿南陸軍大臣役の役所広司、阿南の妻役の神野三鈴。監督が、原爆の描写が殆ど無いことに関して、この作品は三部作の最初で、この作品の出来によって残り二作の製作に影響が出ると言っていた。残念ながら、今作が次に繋がるような成功をするとは思えない。何処に焦点があるのか判らないのだ。中心になる人物がいない、というか、重要な人物がたくさんいてみんなを描こうとして散漫になっている。事件を、歴史の流れを伝えようとしているのか。それにしては展開がよくない。太い流れがなく、支流が一杯という感じである。役者は豪華、豪華すぎる。山ア努が抜群の存在感を放っています。

★★★★ あん イオンシネマ
河瀬直美監督作品。ハンセン病患者に対する差別が中心テーマなのか。そうではないかもしれないが、主要な要素であることは間違いない。しかし、大上段に構えることなく、穏やかに、淡々と描いている。だから、差別が中心ではないと思う。それを通して、人としての在り方を問い質しているのではないか、静かに、丁寧に。永瀬正敏演じる男の緩やかな変化が美しい。樹木希林演じる老婆が軽く、しかし安定していて素晴らしい。内田伽羅演じる中学生はとても老けて見えた。樹木希林の孫だと言うことを後になって知った。未知数の魅力? はじまり方はよくなかったが、終わり方は抜群。

★★ 唐山大地震 横川シネマ
1976年7月に起こった唐山大地震で引き裂かれた家族の32年を追った物語。涙もろい人はタオルを持って行った方がいい、心を振るわせるストーリー。ただ、偶然の出来事に頼りすぎた展開は、予定調和的な所と相まって、リアリティを損なっている面がある。また、演技が過剰で、ついて行けなくなる所もあったりする。とはいえ、いい映画であることには間違いない。いい意味でも悪い意味でも中国の映画である。
この映画、本来は2011年3月26日公開予定だったが、東日本大震災直後ということで延期になっていた。2008年の四川大地震も出てくるので、当然の措置だろう。

★★ 妻の病 八丁座弐
サブタイトル、レピー小体型認知症。小児科医と認知症になった妻の十年にわたる記録。この映画の監督が以前、小児がんを取り上げた「風のかたち」というドキュメンタリーを撮ったとき、小児科医と知り合い、その縁でこの映画が出来た。幻聴、幻覚、記憶障害、などを伴うかなり重篤な認知症で、一人ではほとんど何も出来ない。しかし、妻が明るくよく笑うことは救いだろう。小児科医も妻の姉も、思いやりを持って介護している。実態はよく判った。が、根本的解決策はない。それでも生きていくという決意は伝わる。切ない。彼らが住む四国の南国市、そこの自然が折々に挿入され、人の力のなさを象徴しているようにも感じられた。音楽は、バンドネオンとコントラバスによる、ラ・クンパルシータ、映像にあっている所もあるが、他の曲にした方がいいと思われる所もある。

★★★ 博士と彼女のセオリー 八丁座壱
博士とはスティーブン・ホーキング、彼女とはその奧さん、この二人の関係を中心にした映画。勿論、博士の研究についての話も出てくるが、深入りはしない。詳しくやられても一般人には判らないだろうが。驚いたのは(私が知らなかっただけかもしれないが)、この二人、離婚するのです。博士が世界的名声を得た頃のようです。何故26年間の生活が破綻したのか、この辺りのことはソフトに描かれていますが、疑問が残ります。過去は過去として存在する、ということなのでしょう。映画にはありませんが、博士はこの後二度目の結婚、二度目の離婚を経験するそうです。その辺りの事実は別にして、映画としてはよく出来ていると思います。主演の、エディ・レッドメインが好演です。ちょっとした描写が効いていて、ボールペンを落とすシーンは秀逸。最後の時間が逆戻りする映像は深く記憶に刻まれました。

★★ Mommy / マミー シネツイン
発達障害児の親が法的手続きなしで育児を放棄し子供を施設に入れることが出来るという法律が作られた架空の国でのお話。多動性障害を持つ男の子とその母親を中心に、向かいの家に住む吃音の女が絡む。スト−リーは予測の範囲内で展開する。最後に架空の法律が適用されて、愛とは、希望とは、が問われている、ようだ。物足りないのは、背景の描き方が中途半端なこと。特に隣家の女。この映画の場合、いっそのこと全く言及しなくてもよかったかもしれない。終わり方もよく判らない。愛はあるのだろうが、希望はどうなのか。
この映画の画面は正方形。障害者の世界を暗示しているのか。効果的だと思う。その正方形が二回横に広がる。一回目は発達障害の子が自転車を漕ぎながら両手で広げるような動作をして画面も広がる。流れる音楽と相まって事態が好転するのかと思わせるが、いつの間にか正方形に戻っている。二回目は、母親が息子を施設に入れる決心をして、車で行く途中(息子は知らない)、徐々に画面が広がり輝かしい未来が展開する。一つの可能性とも考えられる。しかし、緩やかに正方形に戻り、車の中の母親の顔になる。技巧に走りすぎ、かもしれないし、まだまだ表現の可能性を広げることが出来るかもしれない。個人的には、縦長の画面を見たい。

★★ 妻への家路 八丁座壱
文化大革命によって引き裂かれた一家の物語。この様な話題が映画になるということは、今の中国では完全に、文化大革命は否定されたのだろう。では何故、毛沢東は生き残っているのか。わからない国である。ただ、この映画では文化大革命そのものを描いているわけではなく、テーマのきっかけでしかない。引き裂かれていた20年後の再会、妻が夫を認識できなくなっている。直接の原因は、なんとなく触れられているが、深く追求されない。中心は夫婦愛である。涙ぐましい夫の努力である。妻の記憶は戻るのか。結末は・・・ 悪くはない。だが、切ない。
コン・リーは歳をとった。さらに、役柄のため、女の魅力は削ぎ落とされている。代わりに、娘役の、チャン・ホエウェンが素晴らしい。特に前半、バレーに打ち込んでいるときは若い魅力にあふれている。余計なことだが、文化大革命期の中国のバレーは笑える。何故西洋のバレーなのだろう。

★★★ イミテーション・ゲーム サロンシネマ1
天才数学者、アラン・チューリングの実話に基づいた映画。簡単に言うと、ドイツの暗号、エニグマを解読するというだけのお話。これがなかなかに面白い。主役、ベネディクト・カンバーバッチが際立っているが、キーラ・ナイトレイも相変わらず魅力的で、存在感あり。他にも個性的な役者が多く、単純なストーリーに彩りを添えている。同性愛が一つの大きな要素になっているが、私にはこの辺りのことがよく理解できない。史実なのだろうが、ここまで大きく扱う必要があるのか。成る程と思う流れはあるのだが、メインストリームとうまく絡んでいないように感じる。



★★★★ 千年の一滴 だし しょうゆ 横川シネマ
日仏合作のドキュメンタリー。2013年のNHKスペシャル「和食」がベースになっているようです。
二つに分かれていて、第1章が「だし:大自然のエッセンス」、第2章が「しょうゆ:ミクロの世界との対話」になっています。第1章は、昆布、鰹節、椎茸、について、作っている人を紹介しながら丁寧な解説・描写で、その奥深さに驚かされました。昆布がそのままでは臭い、というのは驚き。第2部は麹が主役です。しょうゆ(京都の澤井醤油店)だけではなく、日本酒(千葉の寺田本家)の話もあり、さらにそもそもの麹だけを扱う種麹屋の紹介もあり、その存在が興味深かい。京都の菱六というお店が登場したが、全国に10ぐらいしかないそうです。かなりの酒蔵はこの様なお店から麹を購入しているとのこと、これも驚き。第1章と第2章の両方に登場したのが、祇園の川上というお店。行ってみたいと思いました。

★★ ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 サロンシネマ1
英国のナショナル・ギャラリについての、ドキュメンタリー。見覚えのある絵画が次から次へと出てきます。しかし、この映画の眼目はそれではなく、この美術館の活動でしょう。館員によるギャラリートーク、ピアノやバレーとのコラボといった表の顔、そして、裏で行われている会議、画の展示や照明、修復作業など、美術館の様々な面が描かれます。登場する美術館の人たちは皆とても話がうまく、興味深い内容でした。この美術館、入場無料だそうです。

★★★ ジミーとジョルジュ 横川シネマ
ベニチオ・デル・トロ、主演ということで見に行きました。いい映画です。ただ、様々なテーマが交錯し、何が中心なのか判然としません。心の救済、友情、戦争の傷、宗教の癒やし(の否定)、などなど。まあ、そんなことを考えず、ストーリーに身を任せ、映画の世界に浸っていると、いい時間が過ごせました。見終わってから色々と考えるのは必要ないのかもしれません。看護師を除けば唯一登場する女性、ジーナ・マッキー、なかなかに魅力的な女性でした。

★★★ おみおくりの作法 サロンシネマ1
原題:Still Life 最近には珍しく、邦題が意訳である。名訳といえるかどうか、判断は難しい。題名に関してもう一つ、End Mark に原題の日本語訳が載っていて、「静物画」となっている。確かにそういう意味もあるが、普通に、静かな(平穏な)生活、でいいのではないか。
ロンドンの民生局の役人が主人公。孤独死した人の後処理をする仕事に熱心に取り組んでいる(部屋の整理、知り合い捜し、葬式の手配、埋葬)。あまりに効率が悪いので解雇されるのだが、最後に担当する人、それも自分が住んでいる向かいのビルで死んだ人に対して、これまで以上に徹底した行動をとる。その過程で、硬直した平穏な主人公の生活に変化が現れる。これが意外な結末へと・・・ 最後の場面が凄い。この場面を導くためのストーリーなのではと思ってしまった。



★★★ 6才のボクが、大人になるまで。 サロンシネマ1
6歳の少年とその家族の12年間を、毎年少しづつ同じキャストで撮り続けた恐るべき作品である。同じ俳優といっても年月が過ぎるとかなり変わる。主人公の少年も凄い変わりようである。まあ当然ではあるが。子供の12年と大人の12年は違ったものだろう。また、少年の母親も変わるというか、激動の人生を送る。こちらが主人公といってもいいぐらいだ。3時間弱に纏めてあるが、膨大なフィルムが使われなかっただろう。そのためか、少々物足りなさが残る。原題は Boyhood 少年時代、である。確かに少年時代が描かれてはいる。しかし、焦点が拡散していて、強く心に訴えるものが少ないと思った。
テキサス(?)の風景がよかった。さらに、音楽もよかった。父親がミュージシャンを目指し、それが離婚の原因でもあるが、劇中で歌う歌が素晴らしかった。少年への誕生日プレゼントに、ビートルズの「ブラック・アルバム」を贈る。そんなものあったかと思ったら、父親が編集したものだった。そのバックに、ポール・マッカートニーのバンド・オン・ザ・ランが流れる。など、全体的には様々な配慮が施されたいい映画である。


今回座った席の前に書いてありました。

★★ シン・シティ復讐の女神 TOHOシネマズ緑井2
劇場鑑賞券が当たりました。かなり前に、シン・シティの第一作を見てよかったという記憶もあり、期待して劇場へ。公開二週目にして、変な時間に二回だけの上映になっています。今日は朝9時過ぎから、観客は400名以上入るスクリーンに10名足らずでした。前作もそうでしたが、幾つかのエピソードから出来ていて、今作はその繋がりがよくないという印象です。犯罪の街を描くことが主目的ということであれば、これでいいのかもしれませんが、全編を貫くものがほしいと思います。ミッキー・ロークがもっと前面に出たらよかったのではないでしょうか。

★★★ 百円の恋 サロンシネマ1
安藤さくら主演。不思議な魅力を持った女優です。今作でも、太った引き籠りから、逞しいボクサーへと、凄い変身を見せます。弱さの中の空威張り、自立しつつある中の弱さ、見事です。共演の新井浩文もいいですね。印象に残った役者は、松浦慎一郎、ボクシングコーチがピッタリ嵌っていた、恐らく相当ボクシングの経験があるのでしょう。彼に教えてもらったら上手くなる、という雰囲気があります。

★★ 毛皮のヴィーナス シネツイン
ロマン・ポランスキーが監督ということで見に行きました。小説を戯曲にしたものを映画化、なので、舞台を見ているような感じです。それはそれで面白いと思います。古い劇場の舞台で、演出家が女優のオーディションをするという設定。女優が遅れてきたので二人だけのオーディション、だったのが、いつの間にか本気の芝居、その芝居に生身の二人が組み込まれ、虚実入り乱れ、最後は・・・ 残念ながら、これがよく判らない。ここが理解できた人には、大傑作なのでしょう。
「神、彼に罪を下して一人の女の手に与え給う」ユディット記