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0.5ミリ サン・オブ・ゴッド 6才のぼくが、大人になるまで。 
毛皮のビーナス ジミー、野を駆ける伝説 ゴーン・ガール 
ナショナルギャラリー英国の至宝 
わたしたちに許された特別な時間の終わり 
イラク チグリスに浮かぶ平和 
広島での公開は? 大いなる沈黙へ




 ↓ 2014年 27本 今年もいろいろあって、例年より、去年より、少なかった 
 ↓ サロンシネマ:10回 シネツイン:回 八丁座壱:回 横川シネマ:回 
 ↓ TOHOシネマズ緑井:回 バルト11:


遊びのあとおんなのこきらい 横川シネマ
ムージック・ラボ(下に説明を引用)の作品を見ました。
音楽×映画の若き才能が今年も激突!
2012年から突如始まり、過去2回では今泉力哉(『nico』『サッドティー』)、加藤行宏&Bis(『アイドル・イズ・デッド』)、内藤瑛亮(『救済』『パズル』)、大森靖子(『サマーセール』)、山戸結希(『おとぎ話みたい』『5つ数えれば君の夢』)、など、数々の才能がここをきっかけに飛翔していっている音楽[MUSIC]と映画[MOVIE]の実験室=ムージック・ラボ。第3回目を迎えた今年は史上最も玉石混交&賞レース予測不可能な映画監督×ミュージシャン12組が集結!
今回見た二作品
『遊びのあと』 「俺が思う普通をみんながくつがえしてくるから。でももしかしたら、なんて考えてるだけ、で何も出来ない」京都国際学生映画祭2012グランプリ・太田達成が、10歳の頃に自閉症という病気を宣告されたラッパー・GOMESSのライブやレコーディング風景などにカメラを向け、その姿を見つめるドキュメンタリー作品!
ラップの凄さは理解しましたが、映画としてはどうか。
『おんなのこきらい』 かわいい。かわいい。かわいい。女の子の価値はかわいいければそれだけで生きていけるのです。とにかくかわいいことだけが取り柄の過食症女子キリコがこじらせた日常の末にたどりつくものは?希代の美少女・森川葵×ポップユニット”ふぇのたす “の世界観が溶け合う、PFFアワード2012入選の加藤綾佳による胸キュン恋愛映画’ 14!

かわいいの描写も、過食症に関しても、すべて中途半端の印象。

★★ ふしぎな岬の物語 TOHOシネマズ緑井5
鶴瓶はあまり好きではないのですが、サユリストなので、遅まきながら観に行きました。小百合さん、歳をとりましたが、相変わらず魅力的です。阿部寛の役所がしっくり来なくて、全体的にピンと来ない映画でした。魔法がうまく機能していないと思います。でも、吉永小百合の映画なので許します。これからも年相応の役を演じてください。

神さまの言うとおり バルト11シアター8
予告編を見るとそこそこ面白そう、でも、金を払ってまででもなかろうと思っていたところ、試写会があるのを知って応募、なんと当たりました。それでも行くかどうか悩んで、監督が三池崇史なので、決断。しかし嫌な予感が当たりました。考えてみると、三池崇史の映画は、結構観ているのですが、面白かった確率は高くないのです。漫画が原作、頭が血を吹いてぶっ飛ぶという激しい内容、始まってすぐ退席する女性が数名。それはそれで構わないのですが、結局何が言いたいのか、私には理解出来ませんでした。大森南明、リリー・フランキー、は何なのか。続編があるのでしょうか。

★★★★ 祖谷物語 ――おくのひと―― 横川シネマ
人里離れた祖谷の山奥で、「お爺」と高校生の娘が暮らしている。最初に十数年前の二人の出会いがサラッと触れられ、後はほとんど問題にならない(一度ファンタジー的に出て来る)。二人の生活を中心に、田舎生活の大変さが描かれるのだが、それは都会的な視点からのことで、当人たちには普通の生活のようだ。都会から男が一人定住しようとやって来て、悪戦苦闘する。開発の象徴であるトンネルの開通、人の死、というようなことはあるが、これといったストーリーの展開もなく、季節が巡っていき、娘が就職、転職、舞台は東京へ。後半はファンタジー的な要素が加わり、現実と夢が交錯、私好みの映画になって、最後は祖谷に戻ってきます。色々な解釈が可能な映画です。都会と田舎、集中と過疎、開発と自然、老いと若さ(死と生)、病気と健康、消費と生産、破壊と再生、などなど、様々なテーマが盛り込まれ、美しくも厳しい祖谷の風景とともに、心の中に残りました。これからも残り続けるでしょう。河瀬直美が女優として出演しています。
監督は、蔦哲一朗、祖谷の近く、徳島県池田町(現、三好市)出身。池田、蔦、そうです、あの池田高校野球部の蔦文也監督、の孫だそうです。今30歳、映画を撮ったときはまだ20代。

初日で監督の舞台挨拶がありました。写真OKで撮らせて貰いました。若い!
自ら三好市長に企画を売り込みに行き、支援を受け、準備に一年、撮影に一年、だそうです。

★★ 柘榴坂の仇討ち TOHOシネマズ緑井6
原作、浅田次郎。桜田門外の変を題材にした、彼らしい、いかにもありそうな、日本的な情緒のあるお話。途中から結末が見えてくるが、それも意図されたことだとは思う。なかなかにいいストーリーです。ただ、最後に主人公が述べる心持ちには違和感がある。首尾一貫していないし、心情の変化があったとしたら、それが充分に描かれていない。もう一つ、日本映画に出て来る俳優はほとんど同じ人ばかり、他にもいい俳優が沢山いると思うのだが。

★★★ リヴァイアサン 横川シネマ
リヴァイアサン、というと、トーマス・ホッブズを思い出すが、昔々学校で習っただけで、政治哲学書だということしか知らない。この映画とは内容的な関係はなく、旧約聖書ヨブ記に出て来る海の怪獣からとったのは共通しているだろう。この映画では最初の方で、ヨブ記からの引用がなされている。
監督は、ルーシァン・キャステーヌ=テイラー、ヴェレナ・ハラヴェル、の二人。映像作家であり、ハーバード大学感覚人類学研究所の人類学者でもある。底引き網漁船に乗り込み、驚くべき映像をものにした。まずはカメラの視点。乗組員、魚、カモメ、あるいは、海・波そのものといった感じまで、変化に富む。空から海の中に急降下することもある。そして、すべて対象物をとても近くから捕らえている。乗組員のタバコ、ヒゲ、入れ墨。魚の顔。カモメの羽。アップの映像が多い。最初から最後まで、一切解説はない。聞こえてくるのはほとんどが、実際に船に乗っている時の音だけである。時にカメラが海の下に行き、海水の音が聞こえる。不気味で且つ魅力的である。ひたすら働く男たち。網を降ろし、引き上げ、魚を捌き、貝の身や貝柱を取り出す。労働以外は、シャワーの場面が少し、最後の方で食堂と思しき場所でテレビを見ている(放心している・無聊をかこっている?)場面、それぞれ一人の男、この辺りがちょっと物足りない。そもそもこの船に何人が乗り込んでいるのか判らない。一番印象に残ったのは、魚を捌いたあと、不要な部分とかなり多くの血が船から海に放出されるところ、船の外から撮っている。カメラを棒に取り付けて船外に伸ばしたのか。この場面も含め、どの様に撮影したのか不思議なものが多数。色々考えさせられた映画だった。人間と自然、欲望、食料、食物連鎖、生と死、労働、生き甲斐、などなど。揺れる船の上での撮影にしては、映像はさほど揺れない。船と一緒にカメラが揺れているためか。とはいえ、船に乗っている感覚は伝わり、多少船酔いの感じになった。船酔いしやすい人は注意。

★★★ 太秦ライムライト サロンシネマ2
新生サロンシネマ初。この映画、まずは、昔、ニューシネマパラダイス、を見たときと同じ感想を持った。映画人のための映画、つまりそれは、映画好きのための映画、とも言えるかもしれない。しかし、ある種の楽屋落ち(?)のような感じで、業界人以外は蚊帳の外、と思わないでもない。
「太秦ライムライト」のタイトルはチャップリンの名作「ライムライト」を思い出させる。この映画で、「ライムライトの魔力 若者の登場に老人は消える」、という「ライムライト」の言葉も引用されている。バレーと殺陣の違いはあるが、ストーリーも似ている。オマージュなのだろう。
全体的によくできた映画である。ただ、主役の五万回切られた男、福元清三、その道の大家ではあっても台詞回しが気になった。歳の所為もあるかもしれない。主役に思いを寄せる新人女優役、山本千尋、なかなかいい女優だと思う。松方弘樹、小林稔侍、さすが。敵役がパターン化していてよくないが、その一人が最後に豹変し、意外性とともに作品を締めた。

★★★ 2つ目の窓 八丁座弐
河瀬直美監督の作。今回は奈良ではなく奄美大島が舞台。その自然の魅力を見事にとらえている。
2つ目の窓、というタイトルはそれだけではよく判らないが、予告編に、人生を全うしたときに開かれる「2つ目の窓」と書かれていて、生と死が主要なテーマの一つになっているこの映画のタイトルとしては相応しいのでしょう。他のテーマとしては、都会と地方、若者と老人、男と女、といったものが描かれています。印象的なセリフで正確ではありませんが、都会では病気になっても長く生きることがいいことで悲しいね、は心に響きました。このセリフを言った女性は自宅で家族や友人に看取られて亡くなります。羨ましい死に方です。この映画で特筆すべきは、ヒロイン杏子を演じた、吉永淳、とても魅力的だと思います。

★★★ ドストエフスキーと愛に生きる サロンシネマ2
原題、五頭の象といる女。ウクライナ生まれの翻訳家、スベトラーナ・ガイヤーの半生を描いたドキュメンタリー。彼女のライフワークはドストエフスキー作品のドイツ語訳、原題の五頭の象は、「罪と罰」、「カラマーゾフの兄弟」、「悪霊」、「未成年」、「白痴」、の五作品を表している。撮影当時84歳の主人公の仕事のやり方や日常生活、そして、ウクライナ訪問を中心に映画は進行し、古い映像や写真、回想などで、彼女の人生やその時代を浮かび上がらせる。84歳とは思えない凛々しい立ち居振る舞いが印象的で、ドストエフスキーや彼女自身の含蓄のある言葉がちりばめられていて心に響く。全体的にオーソドックスな作りで、落ち着いたいい映画になっています。なお、彼女は2010年、87歳で他界したそうです。合掌。

★★★ パガニーニ サロンシネマ1
パガニーニが特に好きな訳ではありませんが、音楽家に関する映画は大抵見ています。音響のいい映画館だと、下手な演奏会に行くよりも楽しめるからです。特にこの映画は主演が、パガニーニと似た感じの、現役で人気のあるヴァイオリニストなのです。本人が演奏しているので迫力があります。酒場での演奏は最高でした。ヴァイオリンは5億円のストラディヴァリウスだそうです。演技の方はどうなのかよく判りません。脚本も波瀾万丈の人生をうまく表現しているとは言えないような気がします。でも、音楽がよかったので(パガニーニが好きになりそうです)、そして、彼が純粋に愛したシャーロット役のアンドレア・デックがとても魅力的だったので(本人が歌っていたのかどうか判りませんがいい声でした)、いい映画と言うことにしておきます。

★★ 私の男 サロンシネマ1
丁寧な説明もなく、時間と空間が飛び、多少の心地よい曖昧さを残しつつも、美しい映像が流れていく。二階堂ふみが魅力的で、この映画を一人で引き立てていると言ってもいいだろう。残念なところは、ストーリーがそれだけで完結し、広がらない点、なので、対岸の出来事として終わっている。と、私には思えるのだが、歳をとったのかもしれない。

★★★ 世界の果ての通学路 サロンシネマ2
原題は、学校への道。4カ国の子供たちの通学に関するドキュメンタリー。ケニヤの兄妹(11歳と6歳)は象やキリンなどがいるサバンナの中を毎日15キロ、時々走りながら2時間。アルゼンチンのアンデス地方で暮らす兄妹(同じく11歳と6歳)も毎日18キロ、仲良く馬に乗って一時間半、パタゴニアの山や平原を走る。この妹が実に可愛い。モロッコの11歳の女の子、月曜日の朝、友人二人と一緒に22キロを4時間歩く。恐らく週末には逆コースでしょう。インドの三兄弟、車椅子に乗った兄を弟二人が引っ張ったり押したりして、4キロを1時間15分。車椅子と行っても、一応それらしい形はしていますが、プラスチックの椅子をリヤカーに乗せたような壊れそうなもの、心配していた通りタイヤが外れました。その他にも様々なトラブルが起こります。何故ここまでした通うのか、当然、勉強したいからです。最後に、子供達がインタビューで、目を輝かせて将来の夢を語ります。あらゆることが今の日本と対照的、考えさせられました。一つ気になったこと、サバンナで象が近づいてくるときなど、撮影方法を含め、純粋にドキュメンタリーとは言えない印象を受けました。

★★★ 野のなななのか 八丁座弐
初めてこのタイトルを見たとき、何のことか判りませんでした。七七日(四十九日)なのですね。何故平仮名にしたのでしょう。不思議な映画です。始めに、14人からなる野の音楽隊が出て来ます。舞台のような映画の、幕間の合図でしょうか、その後も三回ぐらい登場、数え方によってはもっと回数が増えるかもしれません。定かではありませんが人数の増減があったように思います。明らかに、主人公の友人がハーモニカで参加していることがありました。この音楽隊の場面、黒澤明の「夢」を思い出させます。映画に独特の雰囲気をもたらすいいメロディーです。ストーリーは単純なようで、判りにくい所もあります(綾野と信子の関係、同一人物?)。逆に、セリフが過剰で、メッセージがストレート過ぎです。この点を整理して映画的表現を入れたらもっといい映画になっていたでしょう。常盤貴子、安達祐実が好演でした。芦別の風景がきれいでです。ただ、宣伝臭が強く感じられます。

★★★ 陸軍登戸研究所 サロンシネマ2
この映画は昨夏公開されましたが、地方都市広島にはなかなか来ません。実に10ヶ月ぐらいの遅れ。
とても衝撃的な3時間のドキュメンタリーです。731部隊や陸軍中野学校は知っていましたが、この研究所のことは知りませんでした。これらの組織は連携していたようです。様々なことをやっていたようですが、一番時間をかけて取り上げているのは、風船爆弾。和紙とコンニャク糊で作ったとのこと、多くの労力を要し、大変な作業だったようです。9千発を飛ばし、内1千発がアメリカへ到達、6人の死者をだし、原爆の開発が3日遅れたそうです。次に印象に残ったのは、偽札製造。技術の粋を集めて作ったが、途中からその国の印刷機や原板を没収したので、「偽札」作りではなくなった!
貴重な証言をした人にこんなことを言ってはいけないかもしれないが、研究所で働いた人の多くは自分たちがやったことへの反省の気持ちをあまり持っていないようだった。戦犯に問われることもなく、研究所で培った技術を生かして戦後成功した人も居て、何かスッキリしない。
研究所で働いた故・伴繁雄という人の自伝的告発書『陸軍登戸研究所の真実』という本があり、この映画のバイブルだったそうです。読んでみたいような・・・

★★★ ポンペイ バルト11シアター8
二つ下の「ネイチャー」と同様、広島ホームテレビ、ぽるぽるクラブのポイントで試写会の券をゲット。
ポンペイ、つまり、ベスビオス火山爆発のお話です。そこに、アメリカ映画らしく恋のストーリーを絡めています。
また、奴隷(グラディエーター)のストーリーもあるのですが、全体の流れはシンプルで、少し物足りなさを感じました。しかし、この映画の見所は火山の爆発シーンです。地震があり、津波があり、物凄い迫力です(トラウマがある人は見ない方がいいでしょう)。CGがうまく使われています。実写とCGの繋がり具合が見事です。終わり方もなかなかいいと思います。

★★★★ そこのみにて光輝く サロンシネマ2
佐藤泰志原作の二作目。一作目、海炭市叙景もいい映画だったが、今作はとは監督も脚本も違い、はるかにまとまりのいい映画らしいいい映画になっていると思う。全編に流れる暗さが、変な言い方だがいい感じで、確かな生命を浮かび上がらせる。その期待は最後に果たされ、いい映画を観たという満足感が得られる。綾野剛が陰のある雰囲気を醸し出し、池脇千鶴のアンニュイなムードと芯の強さが光り、その弟役の菅田将暉が、多少過剰な面はあったが、二人の間でいいつなぎ役をやっていた。

★★ ネイチャー TOHOシネマズ緑井8
広島ホームテレビ、ぽるぽるクラブのポイントで試写会の券をゲット。このような映画を観ていつも思うのですが、内容的にはNHKの番組「ダーウィンが来た」の方が優れているのではないでしょうか。しかし、この映画は3Dで、わざとらしいところはあるにしても、かなりの迫力です。そして、スロー映像が多いのも特徴でしょう。本編終了後にメイキングフィルムのようなものがあり、どうやって撮ったのかという疑問が解き明かされます。残念ながら、一番不思議だったワニが獲物を襲うシーンの撮影は謎のままでした。水を中心テーマにしているとのことでしたが、焦点がぼけている感じです。

★★ それでも夜は明ける 八丁座壱
事実に基づいたストーリー、だそうです。このような黒人売買が行われていたということは驚きでしたが、映画としてはこれまでの作品と大きく変わるところは無いような気がします。ただ、自らの恥部となるようなことを描き続ける米国(英国と合作)には感心します。

★★★★ あなたを抱きしめる日まで シネツイン
欧米の映画は自国の暗い歴史の描き方がうまいと思います。自虐的にならず、気負うことなく、そして結末のつけ方がスマートです。この映画は特にラストが素晴らしい。ジュディ・デンチの存在感も凄い。実際にあったことに基づいているそうですが、どこが創作なのでしょう?

★★★ 小さいおうち TOHOシネマズ緑井5
「小さいおうち」に住む夫人の「恋愛事件」が中心のようで、実はその家の女中の生涯を描き、その時代背景をも取り込んだ、なかなかの傑作である。映像にちょっと嘘っぽいところがあり残念だが、俳優陣が素晴らしい。さすが山田洋次、ちょい役にも錚錚たる面々が揃っている。しかし、なんといっても黒木華、そしてその老年時代を演じた倍賞千恵子、よかったですね。

★★★ 大統領の執事の涙 八丁座弐
実話に基づいた、とあったがどこまでが本当のことなのだろう。
ホワイトハウスに黒人の執事がいたということは驚きだが、待遇に差があることはその驚きを半減させた。その改善要求(闘争)もっと描いたらよかったのではないだろうか。とはいえ、映画としてはよくできている。主人公の生涯を描きながら、その間のアメリカ史が織り込まれ、リアリティーが感じられた。アメリカは外に向けて人権問題を言うが、その前に内に抱えた問題を解決する必要があるのではないか。

★★ ネブラスカ シネツイン
年老いた父親とその息子が繋がりを回復する物語です。100万ドルの賞金が当たったと信じる父親、それがイカサマだと判っていて、その賞金を遠くまで取りに行くのに付き合う息子。途中父親の故郷に立ち寄り、ドタバタに巻き込まれながらも、父親の過去を知り、心を動かされ、息子は父親の願いを叶えてあげることにします。このラストは感動的です。今でも判らないのは、これは一種のロードムービーなのに、白黒なのです。見ているときはさほど気にならなかったのに、後で考えると、カラーだったら、もっと情景描写が、そして心象風景を描くことが出来たのではないかと思います。

★★★ 少女は自転車にのって サロンシネマ2
サウジアラビア・独の合作映画で、イスラム教徒の少女のお話。想像以上に、信じられないような、女性の生活である。イスラム教の戒律に縛られてはいるが、少年少女はどの世界でも同じような感性を持っている、ということが判る。親も子供に共感してはいるが、枠からはみ出すことが出来ない。映画はイスラム世界の(我々からみた)異常さ、救いの無さを描いているが、主人公の少女の純粋さ、最後に少し垣間見える母親の変化、が未来への展望を感じさせる。

★★ ハンナ・アーレント サロンシネマ2
ハンナ・アーレントはユダヤ人の哲学者。ナチス戦犯アイヒマン裁判の傍聴れーポートで物議を醸したことを中心に描かれている。悪の凡庸さという主張には、映画最後の彼女の講義がそれなりに説得力があった。かなり長い時間喋るだけなのが映画としてどうかとは思うが、映像では難しいだろう。
所々入る過去の回想が中途半端である。特に、師であるハイデガーとの関係にはもっと踏み込んで欲しかった。もう一つ気になったのが、やたらタバコを吸う場面が多いことだ。タバコを吸う=思考している、ということだろうが、他の表現方法はないものか。主演のバルバラ・スコヴァにはいろいろな意味で魅力が感じられなかった。

★★★★ もうひとりの息子 サロンシネマ2
これも子供が病院で取り違えられるお話。日本版よりもさらに深刻なのは、かたやユダヤ人、かたやパレスチナ人、という所。この状況は部外者が見ても、とてもとても大変そう。しかし、母は強い、父は不器用、本人たちも強い。甘いと非難されそうな終わり方ですが、いい落としどころだと思います。子供の取り違え問題は手段であって、パレスティナ問題がこの映画の眼目ではないでしょうか。その点からも、希望の持てるエンディングでしょう。俳優が皆素晴らしいと思いました。

★★ もらとりあむタマ子 シネツイン
AKB48を卒業した、前田敦子の主演作。AKBの、前田敦子のファンではありませんが、End Mark (サロンシネマなどを運営する序破急が発行している小冊子)で誉めていたので見に行きました。面白い映画だと思います。これといってストーリーがある訳でなく、物理的・精神的・外的・内的に大きな動きがある訳でなく、終わったときに余韻が残る訳でなく、でも、このような映画は、嫌いではなく好きな方なのですが、何かが足りないと感じました。人を感動させる何か、ほんのちょっとの何かだと思います。



 ↓ 2013年 33本 いろいろあって例年より少なかった 
 ↓ サロンシネマ1:回 サロンシネマ2:回 シネツイン1:回 シネツイン2:
 ↓ 八丁座壱:回 八丁座弐:回 横川シネマ:回 西区民文化センター:
 ↓ TOHOシネマズ緑井:回 バルト11:

★★★ オン・ザ・ロード サロンシネマ1
原作の、ジャック・ケルアック「路上」、は我らが学生時代の必読書、という人が周りには多かった。ただ、当時読んだかどうかということすら記憶にない。映画を観て、この内容ならその頃の私は喜んで読んだだろうと思った。特段ストーリーがある訳ではなく、ヒッピー的な放浪生活が描かれている。アメリカ中、さらにメキシコまでが舞台で、各地の映像は興味深い。音楽にも懐かしい響があり、この面でも充分楽しめる。魅力的な役者が多く出ていて、2時間19分があっという間だった。

★★ 利休にたずねよ バルト11シアター8
広島ホームテレビ、ぽるぽる倶楽部のポイントで試写会の券をゲットしました。今年初の試写会です。
映画は利休切腹の日の朝から始まります。すぐに信長の時代に戻り、その後は時間の経過通りの進行です。ポイントになる出来事を中心に軽快に展開します。しかし、この映画の肝は、さらに時間を遡った、利休の放蕩時代の出来事です。それが彼の美意識を形作った、ということのようですが、今ひとつ説得力がありません。彼が最終的に到達した境地にうまく繋がらないのです。残念なことに、映画が完結した、という終わり方ではありませんでした。

★★★ そして父になる 八丁座弐
見るのはやめようと思っていたのですが、会合の前に時間があったので遅まきながら行きました。結構いい映画です。落ち着いたテンポでありながら、大胆な省略をして、全体に引き締まった構成になっています。子供の交換に関する大きな決断が直接語られることはなく、結果で示され、また最後の決断もそこまでの流れで表現されて、エンディングがいい感じです。要所要所で使われる、バッハのゴールドベルク変奏曲のアリアが効果的、躍動的な第一変奏に行かないのは、このストーリーを暗示しているのでしょうか。チョット気になったのが、二家族があまりに対照的で、本質的なものが弱くなっているのではないかということです。

★★★ 二郎は鮨の夢を見る シネツイン新天地
すきやばし次郎、というミシュランの三つ星をとり続けている鮨屋、の元店主、小野二郎を追ったドキュメンタリー。監督は鮨大好きなアメリカ人で、評論家山本益博と鮨屋めぐりをした結果、すきやばし次郎に惚れ込んだ。撮影許可を得るには苦労をしたようだが、密着した素晴らしい映像がたくさんある。鮨に関しては、当然であるが、魚や米といった素材から、その処理に至るまで、丁寧に描かれている。醤油に関して何もなかったのはチョット残念。そして、この映画を優れた作品にしているのは、小野二郎と彼と一緒に働く人との繋がりを取り上げていることだろう。特に、二人の息子との関係は映画を並のドキュメンタリーを超えたものにしている。長男禎一は、父親とともに、人格が滲み出たいい顔をしていて、彼が主人公といってもいいかもしれない。2011年アメリカで公開、次第に注目を集め、今年日本でも上映された。すきやばし次郎については、今回知って驚いた。お店は地下にあり、カウンターだけの十席、トイレは店の外で他店と共同、予約が二ヶ月先まで一杯、料金は参万円から。二十貫ぐらいのおまかせコースで、次々に出て来て、はやい人は15分ぐらいで食べてしまうとのこと。私は行かない、行けない、でしょう。

★★★★ 地獄でなぜ悪い バルト11シアター9
私が今大好きな監督、園子温の最新作。血飛沫が飛び、手や足、さらには首も宙に舞い、流された血が海をなし、そこを女の子が滑る、とはいっても、さほど残虐さは感じず、コミカルな所も随所にあって、何ともシッチャカメッチャカな映画です。意外な展開、また、理想的な展開、だと思っていると、空想(妄想)だとあっさり否定、ガッカリと安堵が一緒に襲ってきます。何かの主張がある訳ではなく、強いていえば、映画万歳、でしょうか。映画についての映画、超娯楽大作だと思います。どの様な落ちを付けるのかと思ったら、実に素晴らしい、あっちに揺れ、こっちに戻り、何処までがストーリーなのか、楽屋落ちなのか、考えているときに、最後の一言、痺れました。

★★ 終戦のエンペラー TOHOシネマズ緑井8
昭和天皇に戦争責任はあるか、ということをテーマにした、ハリウッド映画。なので、架空のラブストーリーが組み込まれています。必要なのかどうか。「誰もが知る歴史の1ページには、知られざる衝撃と感動のドラマがあった」との宣伝文句ですが、史実的には知られたことだと思います。フェラーズ准将という人物に関しては初めて知りました。全体的に、公平な立場で作られていると言っていいでしょう。プロデューサーが奈良橋陽子という日本人です。映画に登場する、関屋貞三郎という宮内次官(終戦時にはもうその職ではなかったようです)は彼女の祖父とのこと。アメリカ人だけではこのような映画は作らないでしょう。といっても、日本で作れるのか、難しいような気もします。主人公のフェラーズ准将についての本、この映画のもとになったものを読んでみたいと思いました。
印象に残った場面:天皇の戦争責任について聞かれた宮内次官が、開戦を決める御前会議で、いつもは無言の天皇が発した言葉を、起立をして頭を垂れ、再現するところ。それは科白ではなく、歌、明治天皇がやはり御前会議で詠んだ歌であった。
四方の海、皆同胞(はらから)と思う代に、など荒波の立ち騒ぐらむ

★★★ ガレキとラジオ 横川シネマ
宮城県三陸町で、FMみなさん、というラジオ放送をした人たちの活動を中心に、東日本大震災の一年弱を記録したドキュメンタリー。体育館の隅にスタジオを作り、経験のない素人ばかり、でも、役に立つ情報を流し、笑顔と元気を呼び戻そうと奮闘する。時給840円の公務員、という身分だそうです。今更ながら、被災地の苦悩に心が痛む。「流された」という表現をよく聞いたが、この映画にあった、「予定が流された」という科白が胸に刺さった。明るく笑いを誘うこともあり、全体的にバランスのいい作品である。もう一つ印象に残った科白、「頑張れ」は嫌だが、「頑張ろう」は好きだ。

★★★ 殺人の告白 サロンシネマ1
面白い作品です。連続殺人犯が時効を過ぎて、告白本を書いてベストセラーになる、ということから始まるストーリー。次々に明らかになることと意外な展開、ハリウッド顔負けのアクション・カーチェイス、始まりのシーンとラストシーンの繋がり、見事です、笑わせる演出も多くあり、楽しませて貰いました。ただ、見終わって気になったことが、パク・シフと遺族達はどこまで繋がっていたのか、どう解釈したら辻褄が合うのか、どなたか教えて下さい。

★★★ 戦争と一人の女 八丁座壱
原作、坂口安吾、読んでないのですが、安吾の分身と思われる作家が主人公。もう一人、右手を失った帰還兵も主人公と言えるか。この二人にまつわる二つのストーリーがなかなか交わりません。このまま終わるのではないかと不思議に思っている頃にやっと、作家と同棲している「一人の女」(名前がなかったような)が、目出度く帰還兵と接触します。しかし、物語がそれによって融合する訳でもなく、やはり二つのお話です。共通するのは、裏返しの反戦でしょう。その意味では面白い作品です。映画を観たら原作は読まない主義ですが、この作品は読んでみようかと思います。

★★★ 嘆きのピエタ シネツイン本通り
ピエタとは、十字架から降ろされたイエス・キリストを胸に抱く聖母マリアの像。素晴らしいタイトルですが、ピエタのままではピンと来ませんね。生まれてすぐ母親に捨てられた借金取りの男、その母親と名乗る女、ほとんどこの二人で映画は進行し、巧みなストーリー展開で惹き付けられます。終わって振り返ってみると、複雑な物語ではありませんが、エンドロールが流れている間に、様々な場面が浮かんできて、見事に繋がりました。冒頭の場面、度々母親が流す涙、途中から最後を暗示する場面ももう一度振り返ると成る程と思います。そして、この映画の魅力は、この二人を取り巻く環境をそれとなく描いているという点でしょう。経済発展が進み、それに取り残される、或いは、それに押し潰される部分、さらに、親と子、男と女、愛情と憎悪、共感、結局、ほとんど描かれなかった共感がキム・ギドク監督の一番のポイントではないかと思いました。

★★ ニッポンの、みせものやさん 横川シネマ
「さあさあ、寄ってらっしゃい、見てらっしゃい」、「親の因果が子に報い」、「お代は見てのお帰り」、などという、懐かしい言葉がよみがえりました。この映画、最後の一軒と言われる見世物小屋一座、大寅興業社を、長年にわたり追いかけた、ドキュメンタリーです。いまだにこのような小屋が残っているということに驚きました。映像や音声がよくない所もありますが、かえって雰囲気にピッタリという感じもします。見世物の内容は、さすがに昔と違って、差別的なものは出せないようです。その分、おどろおどろしさがありません。この一座ではありませんが、オートバイサーカスも登場し、昔見たことを思い出しました。映画は、見世物だけではなく、準備から片付け、日頃の生活なども映し出します。も、ではなく、こちらがメインと言えるでしょう。好きだからやっている、という科白がありますが、まさにそうでなければやれないような生活です。彼らを支えているもは何か、人はどの様に職業を選ぶのか、というようなことを考えさせられました。平日午前の上映ではありますが、観客は私一人でした。

★★★★ ひまわり 横川シネマ
ひまわり、というと、、ヴィットリオ・デ・シーカの作品を思い出します。私的には、これまでに観た中で五本の指に入る素晴らしい映画です。ソフィア・ローレンが列車に飛び乗るシーン、今でも鮮明に思い出します。ヘンリー・マンシーニの音楽も心に響くものでした。今回の「ひまわり」もいい映画です。戦争を扱っている点、それぞれ傾向は違いますが、映像に寄り添い訴えかけるような音楽、そして美しいひまわりの映像、など共通点もあります。
この映画のサブタイトル、~沖縄は忘れない あの日の空を~。
1959年沖縄の石川市(現うるま市)で起こった米軍ジェット戦闘機の墜落事件を取り上げ、2004年米軍ヘリコプターが沖縄国際大学へ墜落した事件を絡め、現在へと繋がっていきます。カットバックが実に上手く、テンポよくストーリーが展開します。主人公の一人は、ジェット戦闘機が墜落した小学校の生徒、級友を喪い50年以上経った今も苦しんでいます(長塚京三)。その孫がもう一人の主人公、沖縄国際大学の学生です(須賀健太)。彼が反戦平和に立ち上がり、祖父が目覚める、と言ってしまうと身も蓋もありませんが、その流れが自然で感動的なのです。多様な視点で捉え、押し付けがましさがなく、涙腺が緩むところも多々あります。いい映画です。横川シネマで31日まで。この日、観客が16人もいました。そういえば、大学生の恋人役で、NHK朝ドラ「あまちゃん」の能年玲奈が出演しています。

★★★ 約束 横川シネマ
名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯、というサブタイトルがついている。東海テレビの長年の取材を元に、死刑囚、奥西勝の半生を丁寧に描く。もちろん、冤罪という立場で。仲代達也が好演している。母親役の樹木希林も素晴らしい。奥西の若い頃は、山本太郎、語りは、寺島しのぶ。実際の映像も多く挿入されている。この映画を観る限り、奥西は無罪だと思う。強く思う。検察の主張は詳しく述べられていない。しかし、ここ数年の検察の不祥事を見てきた後では、検察は信用できない。この映画、裁判官や裁判制度にも批判の矛先を向けている。ここまで言ってもいいのかという程。仲代達也と樹木希林はこれでもう仕事が来なくなるという覚悟をしたそうだ。タイトルの約束は、奥西と交わされた幾つかの約束のことで、悲しいことに、どれもまだ果たされていない。奥西は今87歳、51年独房にいる。
この映画を観たのは平日の午後、観客は私を含め二人、横川シネマはマイナーな映画館(失礼)だが、こんないい映画がこんな状態でいいのだろうか。

★★★ 千年の愉楽 サロンシネマ1
若松孝二監督の遺作。原作は中上健次。三重県尾鷲市須賀利というところが舞台だそうです。そこの路地(被差別部落を中上健次はこう呼ぶ)に生きる産婆オリュウノオバと、彼女が誕生から死までを見た三人の男がストーリーの中心です。男たちは女にもて、女に愉楽を与え、早死にするという家系の血が流れています。役者は、高良健吾、高岡蒼佑、染谷将太、ピッタリです。産婆は、寺島しのぶ、これ又艶めかしく、映画の妖しい雰囲気を醸し出しています。ただ、主張は明白ではなく、それはそれでいいのかもしれません。映像が美しく、特に小さな漁港の朝日や夕日にはウットリ、沖縄のような音楽もその風景にマッチしていました。

★★★★ アルマジロ 横川シネマ
デンマーク映画。アルマジロはアフガニスタン紛争(という言葉が適切かどうかは疑問)の最前線基地、PSO(国際平和活動)でイギリスとデンマークの兵士200人が駐留している。映画は、そこに派遣されるデンマークの若者の出発から帰国まで、7ヶ月の記録である。基地では、ポルノを見たり、戦場で戦闘ゲームをしたり、という日々もあるし、壮絶な戦闘もある。よくぞこんな戦いの場面が撮れたものだと驚嘆する。そして、その修羅場をくぐり抜けると、若者は興奮状態になるのです。それは当然そうなるでしょう。映像はそれを淡々と映していき、価値観を押しつけることはありません。次の言葉は印象的でした。
「なんか あいつらガンガン殺っても、もう罪の意識とか感じないかも。まだ野良犬を殺した方が悪いことしたと思いそう」
帰国後又アフガニスタンに戻りたいという若者が少なからずいるそうです。コレは何なのか、考えられなければいけない現代の大きな問題ではないでしょうか。

★★★ 愛、アムール サロンシネマ1
老老介護を描いた作品と言えるでしょうか。その過程で見られる愛情、これが監督の表現したいことなのだと思いました。最初に結末が示されます。それでも見る者を惹き付ける展開は見事です。カメラを固定して撮影した場面や長回しが多く、それだからこそ、転換が早く映画に引き込まれます。出てくるのはほぼ老夫婦二人だけ、素晴らしい名演技です。メイクの技術もそれを支えています。最後に、娘が老夫婦のアパルトマンに現れ、一人佇み何も喋らないのですが、実にいい場面です。

★★ ゼロ・ダーク・サーティ シネツイン新天地
タイトルは、アメリカの軍事用語で、夜中の0時30分、の意味だそうです。つまり、オサマ・ビンラディン殺害作戦の時間、映画は、この作戦に深く関わったCIA女性分析官の話です。「世界は、真実を目撃する。」という宣伝文句ですが、成る程と思う真実は描かれていません。多分に、私がアメリカ人ではなく、キリスト教徒でもイスラム教徒でもないことが、このストーリーにのめり込めない理由ではないかと思います。拷問場面のストレートな描き方の一方で、襲撃場面の描き方が抑え気味であったり、何かアンバランスで、俳優陣にも惹きつける力のある人がいないと感じました。最後の場面で、女主人公が流す涙の意味がわかりませんでした。

★★ ダイハード/ラストデイ シネツイン本通り
ダイ・ハード、5作目。ダイ・ハード5、ではなく、「ラスト・デイ」、ブルース・ウィリスも歳だし、シリーズが終わるのか、と思い、今まで全てを見ている訳ではないが、行ってみました。相変わらずです。何台車を壊したことでしょう。昔はこのような映像を見るとスカッとしましたが、今は、ジョン・マクレーンのキャラクターを含め、時代の要求からずれているように感じます。でも、懐かしい思いで1時間40分ほどを楽しみました。

★★★★ 塀の中のジュリアス・シーザー サロンシネマ2
原題、シーザーは死ななければならない。邦題の、塀の中、は刑務所を指している。刑務所の囚人たちが演劇実習でシェイクスピアのジュリアス・シーザーを上演し、劇の中の役と自らの犯罪者という立場が反応し・・・という映画。驚くことに、ローマ郊外の刑務所では実際に演劇実習が行われていて、それを知った監督が、演目にジュリアス・シーザーを提案、その制作過程を映画にしたそうです。その刑務所で、そこの囚人たちが演技をしました。もちろん、ドキュメンタリーではないでしょう。演技をする囚人を囚人が演じるのです。この入り組み方がこの映画を面白くしています。ジュリアス・シーザーの最後の場面から映画は始まります。カラーです。最後はここに戻ってくるのですが、オーディションからの舞台の制作過程はモノクロになります。素晴らしい対比です。よくこのような映画を考え出したと感心します。と、私は思いますが、全く正反対の評価をする人もいる可能性を持つ作品でもあるでしょう。

★★★ 東京家族 TOHOシネマズ緑井8
小津安二郎に捧げられた、東京物語の現代版、といえばいいのか。それは兎も角、よくできた映画です。テンポが実によく、淡々と進むようで、冗長になる手前でサッと次に展開していきます。東日本大震災の為に中断し、その間に内容を変えたそうですが、その部分がうまくこなれていないように感じました。役者で言うと、橋爪功、熱演なのでしょうが、何かシックリきていないと思います。それに対して、蒼井優がピッタリはまっていました。大女優になる予感。

★★ 100万回生きたねこ 横川シネマ
絵本、100万回生きたねこ、の作者、佐野洋子と、その読者のドキュメンタリー。ガンのため余命幾ばくを宣告された著者、顔を映さないことを条件に撮影を許可しました。この条件のためか、著者への迫り方がものたりません。特に前半は、絵本の読者の方が主役のようになり、散漫になっている感がします。後半、女優の渡辺真起子が登場し、締まってきましたが、ドキュメンタリーからは離れていったのではないでしょうか。いい素材なので、もう一工夫、何かがあれば、凄くいい映画になったのでは。
驚いたこと。横川シネマ、いつもは観客は数人です。この日、私が行った時すでに14人いました。その後数人来た気配があったので、合計20人近かったかも。

★★★ カラカラ サロンシネマ2
カラカラ、とは、沖縄の泡盛を入れる酒器、空っぽになるとカラカラと音を立てる! なかなかいいタイトルです。工藤夕貴は、ずいぶん昔になりますが、「ミステリートレイン」を見て凄いと思いました。肩に力が入っていない自然体でした。イメージとして残っているだけで、実際どうだったかは判りません。今回見ると、歳を取った分重厚さがでているようです。魅力的な年齢の重ね方でしょう。この映画の魅力は、彼女と沖縄の自然です。これで充分満足できました。そして、音楽がいい。カナダ人の主人公が口ずさむ歌、沖縄の民謡、などなど。内容的には重く不快な部分もありますが、後味はいい映画です。

★★★ 最初の人間 サロンシネマ2
アルベール・カミュ、の未完の自伝的作品を映画化したもの。アルジェリアを主な舞台とし、成功した作家の現在と過去が交差し、アルジェリア問題に明確な態度を示さなかったカミュそのままの主人公、それを形作った少年期の体験、アルジェリアの美しい自然と町並み、などが丹念に描写されます。未完の作品のためか終わり方が少し物足りない気がしました。母親役の女優、主人公を演じた二人(特に子役)、が素晴らしい。母親を見ながら、ここからあの「異邦人」が生まれたのだろうと思い、昔習った、その書き出しのフランス語を思い出しました。 Aujourd'hui maman est morte. Ou peutêtre hier, je ne sais pas. 原題は、Le premier homme 、邦題はその直訳ですが、誤解を与えるのではないでしょうか。私は映画を観て、「最初の人間」は主人公をさしていると思いました。

★★★ レ・ミゼラブル TOHOシネマズ緑井8
ミュージカルは久し振りでした。そして、いいなと思いました。ただ、歌は感情がストレートに出過ぎるところがあり、いい場合と悪い場合があるのではないでしょうか。マイナスの感情の場合は少しオブラートに包んだ方がいいと思います。特に、アン・ハサウェイの歌に感じました。よかったのは、サマンサ・パークスです。ラッセル・クロウも好演、主役と言ってもいいぐらいです。

閼伽の水 西区民文化センター
映画のビラや上演後の舞台挨拶の写真があったので、見た日のブログにちょっと書きました(こちら)。内容が一部重複すると思います。
広島在住の映画監督・吉松幸四郎の作品。ビラに7・8本の作品名と1・2の受賞歴が記載されていますが、プロではないと思います。ビラの作品紹介を見て、これは面白そうだと見に行ったのです。発想はいいのですが、役者が素人っぽく、そもそも演技らしきものがほとんど無く、何かそのままを撮したという感じになっています。それでも、心に響くものがありそうなのですが、この映画の最大の欠点が、集中を妨げるのです。手持ちのカメラがぶれます。ピントが合いません。車に酔った時のように気持ちが悪くなります。制作・撮影・編集・監督、すべて一人でやるのは無理があるのでしょう。画面がぶれない作品があるのならば、この様な発想をする監督の作品、見てみたいという気持ちはあります。

★★★ 別離 シネツイン本通り
イラン映画。やっと海外移住できるようになったのに、同意しない夫と口論している妻、この二人を見ている裁判官の視線で映画は始まる。手続きに時間がかかり、夫の父親がアルツハイマーになってしまったのだ。で、二人は別居、夫は家政婦を雇い、この家政婦一家も物語に絡み、実に様々な問題が提起される。とても見応えのある映画である。特に印象に残ったのは、敬虔なイスラム教徒である家政婦の言動、宗教心のない私には衝撃的でした。以下ネタバレですが、映画の最後も裁判所です。この映画、裁判の場面がたくさん、イランは訴訟国家なのでしょうか。裁判所は日本とは全く違っているように見えます。で、最後は家庭裁判所のようで、父親とアルツハイマーの祖父と暮らしていた娘が、父か母を選ぶというところです。決心した娘が言いづらそうなので、裁判官が夫婦を外に出し、二人が廊下で待っている、という所で映画は終わります。なかなか余韻のある、余韻のありすぎる終わり方です。余談、帰りの階段で、知らないオバサンが、娘はどっちに付いたのでしょう?と質問してきました。

★★★★ ファースト・ポジション サロンシネマ1
ユース・アメリカ・グランプリ、というバレーの大会に挑む、7人ぐらいの子供を取材したドキュメンタリー。世界で少なくとも5000人が予選に参加し、本戦には200人ぐらいしか進めない。ここでのパフォーマンスで、奨学金や名門バレー団への入団を勝ち取ることが出来るのです。控え室の表示に日本語もあり、ちょっと変な気持ちになりました。この映画で最後まで登場する子供たち6人は皆何らかの結果を手に入れることが出来ます。その中で特に印象に残った子が二人。一人はアメリカ人夫婦の養子になったシエラレオネの戦災孤児の女の子、様々なハンディを克服し、その踊りは素人の私でも感動しました。もう一人は、母親が日本人のハーフの女の子、浅田真央に似ていて爽やかな天才、見ていて惚れ惚れします。この子の弟もバレーをやっていて、本戦に出ることになっていたのに、やる気をなくして棄権、姉の影響を受けていたようで、その呪縛が解けたのか、あっけらかんとしていました。もう一人、予選で力を出せず去っていった女の子も前半では取り上げていました。この様に成果を出せなかった子供たちが多くいるはずで、取材はしなかったのでしょうか。たまたま追いかけた子供たち全員がうまくいった、ということは考えられないので、挫折の記録もたくさん残っているのではないでしょうか。難しいとは思うのですが、このことも映画に取り入れたら、もっともっと凄い作品になったと思います。

★★★ 菖蒲 サロンシネマ1
巨匠アンジェイ・ワイダの作品。原作はポーランドの有名な作家、だそうですが全く知らない人です。映画は三つの世界で構成されています。一つは当然原作のストーリー。二つ目は、主演女優が夫の死について語るモノローグ、この夫は監督の盟友であり、映画の撮影監督でもあったのです。最後は、所謂メイキング映像というもの、時間的には長くありません。この三つが渾然一体となり、不思議な世界を創り出しています。撮影監督が途中で亡くなったことにより、映画がこの様になったそうです。生と死が大きなテーマになっているので、とても効果を発揮しています。主演のクリスティナ・ヤンダ、60歳ぐらいだと思いますが、艶めかしさがありました。心に残る映画です。

★★★ アルゴ シネツイン本通り
1979年に起きた、イランアメリカ大使館人質事件のお話、という予備知識だけで見に行った(事前に内容についてはあまり調べません)、のでちょっと意外だった。81年1月になってやっと開放された、大使館に閉じ込められた50数人のことだと思っていたのです。そうではなく、占拠される直前に大使館を離れ、カナダ大使の元に避難していた6人の救出作戦についてでした。CIAが画策したこの作戦、18年間機密扱いになっていたそうです。ちょっと実話とは思えない、奇想天外な、そしてとてもアメリカ的な作戦でした。充分楽しめる映画です、が、ハラハラさせようという演出が少しやり過ぎではないでしょうか。

★★★ 007/スカイフォール 八丁座弐
さすがです。充分楽しませて貰いました。世界の素晴らしい景色も堪能、特に、上海の夜景の美しさ、マンハッタンを凌いでいると思います。物凄くたくさんのものを破壊してましたが、今はCGなのでしょうか。昔、「スピード」で、地下鉄が地上に飛び出したことがありましたが、それを彷彿とさせる場面もありました。また、音楽がいいですね。あれを聞くとワクワクします。

★★★ これは映画ではない 横川シネマ
イラン映画。アッバス・キアロスタミ監督の下で助監督をした経験を持つ映画監督、ジャファール・パナヒの、映画ではない映画。現在、反体制的な活動のため、6年間の懲役、20年間の映画制作禁止、の判決を受け、自宅軟禁中。なので、これは映画ではない、ということになっている、が、世界の彼方此方の映画祭で上演され、賞を取っているのです。軟禁中の自宅、自らが設置したカメラの前での日常から映画が始まる。、そして、以前に自らが書き映画化出来なかった脚本を読む、ということを思い付き、これならば、映画作成にはならないだろうと、友人の監督、ミジタバ・ミルタマスブに手伝って貰い撮影開始。絨毯にテープを貼りロケ地を作ったりするが、結局脚本を読むというだけの行為に疑問を持ち中断、そこに、犬を預かってくれと隣人が来たり、ゴミ回収の若者が来たり。偶々なのか、仕込まれたことなのか。判然とはしないが、若者とは一緒にエレベーターに乗って部屋を出て行くあたりは暗示するものがあり、仕込まれているような気がする(監督はマンションに住んでいます)。この様な映像をUSBファイルに収め、密かに国外に持ち出したそうです。とても刺激的な映画です。ストーリーとしても面白いし、映画とは何かということについての考察も興味深い、と私が思うだけで、全く一般受けはしないでしょう。平日の午後ということもあるでしょうが、観客は3人でした。まあ、横川シネマは何時もこんなものですが。映画の内容とは関係ないでしょうが、監督の家のテレビに、東日本大震災の津波の映像が映っていました。2011年の作品です。

★★★ 声をかくす人 サロンシネマ1
原題 The Conspirator 、共謀者、陰謀者、といった意味。邦題は苦心の作、なのだろう。conspiratress という女性形もあるが、使わなかったのには何か意味があるのか。単にあまり使わない言葉なのかもしれない。リンカーン暗殺の容疑で絞首刑になった女性の話、実話に基づいている。彼女は合衆国で初めて死刑になった女性とのこと。南北戦争終結直後の大統領暗殺で早期の解決が求められる状況の下、被告たちは民間人なのに軍法会議にかけられる。彼女の弁護士も主人公で、この裁判の後弁護士を辞めるというところに、この映画の主張があるのだろう。無理に盛り上がりを作らず、落ち着いたペースのいい映画です。

★★★★ 希望の国 サロンシネマ1
園子温監督作品。原発事故の話。てっきり東日本大震災のことだと思っていたら、その後にもう一度起こったという設定だった。避難地域の境界線が家の庭を横切った家族、親夫婦と息子夫婦を主人公にしている。園子温らしくない判りやすい展開で、惹きつけるものは充分に持っているが、割に淡々と進行する。惚けた母親役の大谷直子が光っています。監督独特の毒がないまま終わりに近づき、この家の向かいにあって、避難地域に入った家の息子と彼女が予想通りの展開になり、親夫婦も(悲しいことではあるが)予測通りとなり、息子夫婦も、という時、あ!ッとなって、嫁の、「愛があれば大丈夫」という言葉でエンドロール、ではなく、ここで初めて映画のタイトルがでる、「希望の国」。凄いアイロニーです。こんな書き方では何のことか判らないでしょうが、まだやっているので是非見て下さい。見る気がない人に以下ネタバレ、ドラッグすれば見えます。自宅に残った親夫婦は、避難区域が広がり退去しなければいけなくなりますが、拒否。強制退去の前に、飼っていた牛を射殺し、自分たちは自殺。息子夫婦は父親に強く言われて、嫁が妊娠していることもあり、遠くへ避難、穏やかな浜辺でその地の親子と幸せそうにしている時、息子が持っていたガイガーカウンターが放射能を検知。これが希望の国なのです。
ボトム