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これから見る予定の映画


乱暴と待機
 セラフィーヌの庭 ソフィアの夜明け 白いリボン
モンガに散る 
広島公開は?


2010年は32本の映画を見ました。
春、身内に不幸があったことを考えると、よく見た方だと思います。
近くの、TOHOシネマズ緑井へは、わずか5回、それも、試写会がその内3回、
バルト11が1回、109シネマズ広島が1回、残りはサロンシネマ系統です。
サロンシネマ1が8回、サロンシネマ2が2回、
シネツイン本通が6回、シネツイン新天地が7回、
八丁座壱が1回、八丁座弐が1回。
11月末オープンの八丁座、素晴らしい劇場です。
ですが、上映される映画がどんなものになるかが問題です。
来年もいい映画に巡り合えることを願って・・・



★★ ノーウェアボーイ シネツイン1
ジョン・レノンを二人の母親との絡みを中心に描いた作品。映画では、恐らく盛り上がりを作るため、これまで本などで知識として知っていたことより、様々な人間関係をドロドロとしたものとして表現しているように思った。そこに不自然さを感じたのは私だけだろうか。世に知られた有名人を取り上げるのは難しいということか。中途半端に似ている俳優を使うより、全く似てない役者を使う方がいいかもしれない。

★★★ ノルウェイの森 Toho Cinemas 4
映画に原作があり、それを読んでいた場合、普通見に行かないのですが、ノルウェイの森はあまりにも昔に読んでストーリーなど記憶になく、村上春樹は好きだし、小説はよかったという記憶はあるし、菊地凛子も好きだし、偶々時間がポッカリ空いたし、行ってみました。
いい映画だとは思いますが、見ていて、こんな場面を本で読んだことがあるという記憶は全く一度も甦りませんでした。私の記憶、大丈夫か? それと、映画を見ながら、この映像の世界と村上ワールドは違うという思いがずっとしました。特に、初めの方で、学生運動のデモ隊がよく出てくるのですが、それとの関わり、というか、関わりのなさ、の描き方に違和感を感じます。そのようなことを超越しているところに、微妙な彼の世界があると思います。
ロケ地の砥峰(とのみね)高原、実にいい場所を選んだものだと感心しました。素晴らしい雰囲気を作り出しています。菊地凛子がピッタリはまっています。本当に魅力的です。
彼女は何処にいるのか? 我々は何処にいるのか? 小説でも、映画でも、この最後の問いかけは、軽く流れてきて、エコーで増幅して、何時までも重く響いてきます。

★★★ めがね シネツイン1
荻上直子監督作品、三年前の映画。見逃していたのだが、「マザーウォーター」絡みで再上映。
与論島の美しい自然をふんだんに、「かもめ食堂」の面々が繰り広げる独特の時間の流れ、いい映画です。気になるのは、「もたいまさこ」が何かの教祖みたいになってきていること。この雰囲気には欠かせないキャラクターだとは思うが、ちょっと奉り過ぎでは。ちょっと出てきた薬師丸寛子が非常に印象的でした。
これらあくの強い女優たちが登場する映画の流れ、「プール」(大森美香監督)はまだ良かったが、「マザーウォーター」(松本佳奈監督)は何か違う感じ、やはり監督か。「トイレット」を見逃したのは残念、再上映はないかな。

★★★★ こまどり姉妹がやってきた ヤァ!ヤァ!ヤァ! 八丁座 弐
サロンシネマで上映した時見逃したものを、八丁座オープン記念で再上映。
私特に、こまどり姉妹のファン、という訳ではありません。映画作品として面白いという評判を聞いて、見たいと思っていました。実際に見て確かにいい映画だと思いました。どこから探してきたのか、昔の映像を交えながら、時代背景を織り込みつつ、姉妹の波乱万丈の生涯を、描いています。昔そんなにいいと思わなかった歌も、この映画の中で聴くと、なかなかに感動的です。70歳を超えた今も歌い続けているとのこと、感嘆します。

★★ 京都太秦物語 サロンシネマ2
松竹と立命館大学(山田洋次と立命の学生)、それに太秦商店街が協力して作った映画。メインのお話は単純なラブストーリー。そこに商店街の人たちの生き様(実際の商店街の人たちが登場)が絡み、その商店街が支えた全盛期の映画へのオマージュが重なる。京都らしい場所もたくさん出てきて、一応楽しい映画ではある。ただ、様々な思いが詰まり過ぎていて、焦点がボケてしまっている。主演の、海老瀬はな、かわいいですね。

★★ 武士の家計簿 八丁座 壱
八丁座オープン前夜の試写会、映画よりも劇場を見たくて、招待券を手に入れるため努力をしました。八丁座についてはこちら。劇場に興奮して、映画の方が疎かになりました。取り上げた素材はユニークでいいのだが、ちょっと偏り過ぎと感じた。そのため、リアリティに欠ける面があるのが残念。役者も、主役よりも脇役の方に芸達者が揃っていて、バランスが良くない。

★★★ レオニー シネツイン2
イサム・ノグチの母、レオニーを主人公にした映画。タイトルの "Leonie" が筆を使った文字で、美しい書になっていました。三つの時間が流れながらストーリーが展開されるのですが、分かりにくいことはありません。波乱万丈の生涯に感動していたのですが、エンドロールで、この作品は事実をもとにしたフィクションだという断り書きが出てきました。普段は殆ど気にしないのですが、今回は何故かすごく気になりました。人の生涯を扱ったこの様な映画、事実だと思って見て感動するのではないでしょうか。事実に反することなく想像力を膨らませる所は幾らでもあると思います。それはそれで構わないのですが、大きなところが事実と違っているのかも、と考えると感動が薄れます。ただ、その辺りを差し引いても、この映画には心を動かされました。主演の、エミリー・モーティマー、が素晴らしかったためでしょう。
多分、フィクションの最たるものは津田梅子だと思います。年代的に合わないのでは。そして、小泉八雲の妻の節子、こちらは年代的にはあるかもしれないが、果たして? こんな有名人を登場させる必然性は全くないと思います。

★★★★ ANPO サロンシネマ1
監督のリンダ・ホーグランドは日本生まれのアメリカ人、彼女が60年安保を知るアーティストにインタビューし、それに関わる作品を紹介するというドキュメンタリーです。多くの人が登場するが、知っていたのは、加藤登紀子、横尾忠則、半藤一利、ぐらいでした。しかし、どの人の証言も重く、作品も素晴らしく、日本の歩んできた道やこれからのことについて深く考えさせられました。戦後ずっと日本はアメリカに利用されてきて、そして今もまさにそのような状況でしょう。この日米関係をきちんとすることが今一番必要なことだと思いました。

★★★ 終着駅 シネツイン1
トルストイ、晩年の話です。名前は知っていても、作品は知っていても、トルストイという人物については何も知らないということが分かりました。詳しく調べてみる価値がありそうです。
なかなかいいストーリーです。二つの愛が交錯し、どちらもホッとする結末といえるでしょう。映画の流れにも無理が無く、映画館を出るとき、いい時間を過ごしたという気持ちになります。主演のヘレン・ミレンがとても魅力的で、映像の美しさも秀逸です。

★★ マザーウォーター シネツイン2
監督は変わりましたが、『かもめ食堂』、『めがね』、『プール』、に連なる作品でしょう。残念ながら、『メガネ』は見逃しましたが、その他の3作にはつながるものがあります。普通の生活、現代人が失ったごく普通の生活。ヘルシンキ、チェンマイ、そして京都、それぞれの土地に溶け込んでいるようで、その一方、どこにでもありそうな生活。と思っていたのですが、見終わってから何か違う感じが大きくなっていきます。どこにもない彼女たちだけの生き方、必ずしもその土地である必要のない生活、と思えてきました。
この作品では、あの赤ん坊に演技賞を!

★★★ パリ20区、僕たちのクラス サロンシネマ1
パリ市東部の第20区にある中学校を舞台にした、ドキュメンタリー風の物語。波乱万丈のお話ではなく、フランス語教師と生徒24人の一年を淡々と描いている。生徒のほとんどは、フランスの白人ではなく、移民の有色人種である。教師を演じているのは、この映画のもとになった小説を書いた本人、生徒たちはみな映画初出演、だそうだが、なかなかの演技である。
学校が抱える問題はフランスも日本も同じだと思ったが、この学校には、移民問題、人種問題がある。そして、問題への対処の仕方、システムが違う。懲罰委員会に生徒代表が出席する、というのは驚きだった。この様な違いも興味をひいた。特に、授業での教師と生徒のコミュニケーションが、様々な方向への脱線も含め、一応成り立っているのが素晴らしいと思った。ラストは、休みに入り生徒がいなくなった教室の映像だが、何か明るい展望を暗示するものでも欲しいところである。

★★★ 瞳の奥の秘密 シネツイン1
裁判所を定年退職した男が、25年前の未解決殺人事件とその後、を追うストーリー。その縦糸に、この男の愛という横糸が絡む。特に意外性を持った話ではないが、人の持つ様々な情念を明らかにしていき、見るものを引き付ける。部屋で話をする時、ドアを開けたままか閉めるか、ということが何度か描かれていて、ラストで効果的な使われ、女優の笑顔とともにいい終わり方である。

★★★ 闇の列車、光の旅 シネツイン2
ホンジュラスの少女が、アメリカに行く、簡単に言うとそんなお話。行く、といっても不法移民、更に、メキシコのギャング団の若者が絡み、中米の猥雑な状況を描き出す。最後の少し、ほんの少し、希望のひかりが見えないこともないが、なんら根本的な解決ではない。その方向性が無い映画は見ていてつらい。まず現実を知ることが出発点だとはいっても、何らかの展望は欲しい。
とはいえ、この映画のいいところは、その非情なまでの写実的な映像なのかもしれない。ホンジュラスもメキシコもある意味美しい。そして音楽もいい。

★★★ ザ・ロード サロンシネマ1
重たい、暗い、映画です。描かれていない何かが起こって、ほとんどの生物が死に絶えた世界、そこに生き延びた父親と男の子、この二人の物語です。何故か、海を、南を、目指します。他に登場する人物は、明るいカラーの回想場面で母親、悪人たちの集団、孤独なコソ泥、この親子と同じように生き延びてしまった小心で善良な人々、どこにも明るい展望はありません。しかし、これが我々が置かれている状況なのかもしれません。少なくとも、この先置かれるであろう状況に違いありません。エンドロールの無味乾燥な文字が流れる背後に、人々が楽しそうに笑ったり歓声をあげているような音が流れます。が、それに荘厳な、明るさが微塵も感じられない音楽がかぶさります。

★★ 悪人 Toho Cinemas 8
試写会が当たりました。今年三回目。あまり申し込んでいないので、いい確率です。
映画は、前半はいいテンポで力強く展開するのですが、二人が逃亡し、純愛物語風になっていくあたりから緩んでいきます。更に、いろんな問題を盛り込みすぎ、流れが分解してしまいます。原作がそうなのでしょうが、2時間程度の映画で表現できることは限られています。もっと絞ったらよかったのではないかと思います。
ところで、二人が隠れた灯台、それ自体も魅力的だし、ロケーションが抜群です。長崎県の五島列島、福江島の南西にある、大瀬崎灯台のようです。これはブレイクするのではないでしょうか。もうちょっと便利な所なら、私も行ってみたいと思いました。

★★★ ドン・ジョヴァンニ サロンシネマ1
天才劇作家とモーツアルトの出会い、というサブタイトルがあり、その劇作家が、ロレンツォ・ダ・ポンテ、である。モーツアルトの歌劇、「フィガロの結婚」、「ドン・ジョバンニ」、「コシ・ファン・トゥッテ」の台本を書いている。この二人が出会い、「ドン・ジョバンニ」の完成までが描かれる。ただ、史実に忠実ではないようだ。当然華麗な音楽に溢れ、二人の女優が美しく、充分に楽しめる映画だ。不思議だったのは、ビバルディの「四季(夏)」が重要な場面で使われていることだ。まあ、モーツアルトが主役ではないのだからいいのかな。

★★ クレイジー・ハート シネツイン2
アルコール依存症になっている、57歳の伝説のカントリー・シンガーが、恋をして復活する、アバウトに言うとそんな映画です。いい歌が聴け、アメリカの大自然も堪能でき、恋の相手のマギー・ギレンホールも魅力的で、結構楽しめるいい映画だとは思います。しかしです、主演のジェフ・ブリッジスが、恋をするには年寄り過ぎます。設定年齢でも充分歳なのに、それより老けて見え(実際彼は60を過ぎている)、若い女に愛されるほど魅力的には描かれていません。女の描き方にも不足するものがあるのでしょう。この辺りを丁寧にやっていれば、すごくいい作品になったと思います。
もう一つは、ちょっとネタバレ気味になるので、これから見る予定の人は読まないでください。
二人の恋は成就しません。その大きな要素の一つは、女に男性不信の傾向があるからです。それなのに、この女、一年ちょっとで再婚しているのです。ストーリー展開の上で、女がフリーなのはまずいのかも知れませんが、かなり違和感がありました。この辺りも何かが不足しているのでしょう。
と、文句ばかり書きましたが、見て損はない映画だと思います。特に音楽好きには。

★★ ザ・コーブ サロンシネマ1
話題作(?)を見に行きました。プロパガンダ映画としては、よく出来ていると思います。巷間よく言われているように、ドキュメンタリーとはいえないと感じました。イルカの血で真っ赤になったコーブ(入り江)という一点に向かって進んでいくというドラマです。その映像は、確かに衝撃的です、しかし、それは何を表わしているのでしょう。彼らが主張したいことは、事実を積み上げることによって、客観的で説得力のあることを提示することによって、つまりドキュメンタリーの手法によって、見る者に伝わると思います。私には、彼らの思い、それも、どれだけの共感者がいるのか不明は、個人的な思いしか伝わりませんでした。そして、この映画の最大の欠点は、現地の漁民の声が全く聞こえないことです。隠し撮りなどせず、それを掬い上げる努力をしてこそドキュメンタリーといえるのではないでしょうか。

★★ 十三人の刺客 Toho Cinemas 2
63年、片岡千恵蔵主演作品のリメイク。ストーリー自体は単純。何故か、忠臣蔵的なものを(無論筋立ては違いますが)感じました。主人公が最後に取った行動はその典型ではないでしょうか。見せ場は何と言っても、十三人対二百人の戦いです。すごい迫力です。その意味で、これは娯楽作品で、充分楽しめます。しかし、それ以上のものを求めてはいけません。
多彩な役者が勢ぞろい、なかでも、稲垣吾朗はその役柄の為か存在感があります。惜しむらくは、芸達者な面々の中で芝居の下手さが見えていました。
ラストの、主人公の甥の笑顔、そしてその嫁の笑顔、の意味を追求したら、ちょっと違った作品になったかも知れません。

★★★ キャタピラー シネツイン2
不思議な映画でした。猟奇的な反戦映画、とでも言えばいいのでしょうか。被害の面だけではなく、加害という点が重要な要素になっています。四肢を失った男の心の変化は充分に描き切れているとは言い難いが、その妻の精神の不安定さ、そして、それを超越していく過程、はよく表現されています。ラストの、妻の笑顔は、このくらい映画を見終わったときの気持ちを楽にしてくれます。そのため、この映画は、戦争を描いたというより、人間の根源的なものを抉り出したもの、という感じがしました。寺島しのぶは、妖艶で、不思議な惹き付けるものを持った、いい女優です。
エンドロールで流れる、元ちとせの「死んだ女の子」という歌が、この映画の締めくくりにピッタリでした。

★★★ ボーダー シネツイン2
日本での公開が遅れたが、2007年、ロバート・デ・ニーロとアル・パチーノが初めて本格的な共演をした映画。二人とも歳をとりました。特に、ロバート・デ・ニーロは役柄のためもあるのでしょうが、老けたと思いました。映画は名優を二人上手く使い、よく出来ています。最後のどんでん返しはなかなかだとは思いますが、二人の友情の扱い方にもうひと工夫ほしいところです。個人的な欲を言えば、ニューヨークの魅力を表現する屋外の場面があれば更によかったと思います。カーラ・グギーノは魅力的でした。

★★ アデル シネツイン2
以前、サロンシネマ・シネツインで上映される映画はほとんど他の映画館では上映されませんでした。シネツイン2が出来たあたりから、他館でもやっているものがかかり始めました。いい映画であればそんな事を気にすることは無いとは思うのですが、何時頃からか、らしからぬ映画が見られるようになりました。経営のこともあるので、多少は仕方のないことでしょう。2カ月ぐらい前、新館を作るということが発表されました。5スクリーン目です。経営は大丈夫なのか、上映作品のレベルをどう維持するのか、ちょっと心配です。普通のシネコンみたいになったのでは、存在意義が失われてしまいます。その点、横川シネマは頑張っていると思います。
アデルは、他館でも上映されているもので、シネツインでやっていなかったら、見に行かなかったでしょう。ちょっとがっかりの映画でした。リュック・ベンソンもこの様な映画を撮るのですね。偉そうに、奇想天外の収めどころとスパイスが一つあればいい作品になるのではと考えました。

★★★ オーケストラ シネツイン1
素晴らしく出来のいい映画、とは云い辛いが、面白くて、音楽も楽しめ、ちょっと感動する、なかなかの作品です。全般的にコメディ調で、リアリティという面では問題もあるが、そんなことは兎も角、楽しい時間を過ごせます。特に、最後の演奏場面はとても上手く作ってあり、感動します。欲を言えば、折角ロシアやパリが舞台になっているのだから、それぞれの魅力を映像に盛り込んでほしかったと思います。

★★ ロストクライム―閃光― 109シネマズシアター3
3億円事件を題材にした作品。面白いとは思うが、説明不足ではないか。原作を読んでいないので、原作もそうなのか、映画化でそうなったのか、は不明。おそらく映画化の失敗ではないか。まず、犯人が事件の真相をどうやって知ったのか、説明が足りない、だから彼の行動に説得力がない。もうひとつ、警察権力があそこまでやるか。造り物とはいえ、疑問が残った。というようなことをゴチャゴチャ考えずに見れば、充分楽しめるとは思う。

★★ マイ・ブラザー サロンシネマ1
この映画は、ベトナム戦争を題材にした映画にもあったように、戦争の後遺症を描いたものだ。アフガニスタンに出兵するのだが、特にアフガニスタンである必要はない。そこでの異常な体験が、兵士を、その家族を苦しめ、それから如何に立ち直るか、というストーリだ。感動的な話ではあるが、アメリカからの視点だけで描かれている点が気になる。
なお、この映画は数年前の「ある愛の風景」のリメイク、ハリウッドはこんなことをやっていていいのか。
ナタリー・ポートマンが綺麗でした。

★★★ アウトレイジ バルト11シアター2
北野武の才能を再認識しました。人間の性を理解し、主張に偏らず、観客を楽しませ、映像の美しさも織り込む。過剰な暴力表現は抑えることができるのではないかと思いますが、個人的には一応許容範囲です。ビートたけしのお笑いの方が許容範囲を超えています。映画の方をもっと作って欲しいと願っています。

★★★ ケンタとジュンとカヨちゃんの国 サロンシネマ1
今年見た中で一番の映画。映画が持つべきものを一応持っている。
印象に残ったセリフ(正確ではありませんが)。
(ある登場人物)網走の向こうに何があるか知ってるか?・・・・・海だよ。
(別の登場人物)海の向こうに何があるか知っているか?・・・・・おれたちの知らないものだよ。
そして、このセリフが最後に効いてます。
最高に良かったのは、最後に安藤さくらの放心したような表情のアップが映り、
岡林信康の「私たちが望むものは」が流れます(今彼を知っている人はどれ位いるのだろう)。
歌っているのは、私の知らない、阿部芙蓉美というハスキーボイスの女性、
伴奏控えめ、初めと終わりはアカペラ、
これがピッタリなのです、歌い方、歌詞の内容、この映画にピッタリです。
この歌からこの映画を作ったのではないかと思うほどです。
映画館を出てからこの歌を口ずさんでいます。

★★ プレシャス サロンシネマ1
主演の新人、ガボディ・シディベ、圧倒的存在感です。16歳の役ですが、83年生まれ、でも全く気になりません。何歳にでも見えます。ストーリーは、簡単に言うと、家庭で虐待された少女が愛に目覚める、といったところでしょう。存在感はあるのですが、あれだけ太っていると動きも表情も平板で、心理描写が精緻ではありません。その分見る方が補うという、いいのか悪いのか分からない効果があります。アップでの表現が多く、もっと映画らしい、広がりのある映像があったらと思いました。

★★ カラヴァッジョ サロンシネマ2
イタリアバロック絵画の巨匠・カラヴァッジョを描いた作品。サブタイトルに、天才画家の光と影、とあるように、彼の人生の光と影を描くだけではなく、映画にも彼の絵と同じように光と影が非常に上手く使われている。彼の気性の激しさ、純粋さが、常軌を逸しているように感じたが、実際もそのような人物だったようで、芸術家とはそんなものなのかもしれない。ということで、今一つ感情移入できなかった。

★★ マイレージ、マイライフ シネツイン1
アメリカ中を駆け回る主人公、それらの都市の空からの映像がきれいです。初めのタイトルバックが、これらのコラージュです。そして、エンドロールの背景は雲の上の映像です、つまり、都市は見えません。アメリカ映画らしからぬ終わり方を象徴しているようです。様々な現代社会の問題に触れていますが、重いことはなく、この点はアメリカ映画らしさが出ています。いろんな見方のできる、見て損のない映画です。

★★★ アリス・イン・ワンダーランド Toho Cinemas 2
いろいろあって、実に1月以来の映画です。
話題の3Dを見たくて行きました。凄い技術です。ビックリしました。いろんなものが眼前に迫ってきます。石が飛んできたときなどは、思わず避けてしまいました。ただ、まだ発展途上のものだともいます。気になる点がいくつかあり、特に、アリスが穴に落ちる場面、馬車の窓越しに見える外の景色、など、ちょっとちゃちな感じがしました。ストーリーは、少しひねってあるようですが、当たり前ですがアリスです。猫が撮っても魅力的です。全体的に見たら、素晴らしいと思います。3D未だの方、是非。

ラブリーボーン Toho Cinemas 7
家族三人で書いて応募した試写会が当たりました。久しぶりの映画です。
結構期待していきました。が、ひどい期待外れ。何を表現したいのか分からず、俳優にも映像にも魅力なし、アカデミー賞の有力候補、と書いてあったような気がするが、見間違いか。


 2009年 25本 

     今年も出だしは快調だったが、春に家庭の事情で行けなくなった。
     その後は、何時でも1000円になったのに、巡り合わせが悪く、
     時間があるときには見たい映画がなく、見たい映画があるときは時間がなかった。


★★★ わたし出すわ シネツイン1
簡単に言うと、儲けた金を高校時代の友人に渡し、その渡された友人たちのその後の生き方を描いた映画。どうやって稼いだのか、なぜ渡したのか、は一応描かれてはいるが、ちょっと弱い。テーマから考えると弱くてもいいのかもしれない。友人たちのその後は、ひとり死んでしまうが、プラスの方に行っているようで、見た後の余韻も悪くない。ただ、われわれの想像力を超えた展開がなかったのは、ちょっと物足りなかった。主人公の母親も大きな部分を占めているのだろうが、描き足りない感が拭えない。とはいえ、全体的にはいい映画だと思う。

★★★ ヴィヨンの妻 Toho Cinemas 8
大きく心を揺さぶることはないが、いわゆる私小説的に感情にピリピリと訴えるところがあり、全体的にうまくできている。どうしても太宰の自死を思い出してしまうが、終わり方もちょっと明るさがほの見えていいと思う。松たか子が素晴らしい女優になった。浅野忠信には何かが欠けている。目が死に過ぎているのではないだろうか。広末涼子には明らかに風格が足りない。という不満はあるが、いい映画だと思う。
主人公のセリフ:女には幸福も不幸もない。男には不幸しかない。

★★★ ポー川のひかり サロンシネマ1
原題は「百本の釘」、物語の始まり、荘厳な図書館の貴重な本が、開かれた状態で、大きな釘を使って机や床に打ち付けられる、という大事件が起こる。登場人物のセリフにもあるが、その光景は背徳的に美しく心を震わせるものがある。知識、宗教を捨て、自然に生きる、ということの象徴であろう。その後、その大事件の犯人である主人公は、ポー川の畔で、素朴な人々と自然の中で暮らす。現代人が忘れている大切なことを、自然の流れの中で、時には言葉で、そして最後には、押し付けがましくない終わり方で、気付かせる。しかし、そのこと自体が知識を必要とすることであり、つまり、人間は矛盾した存在であることの現れと言えるだろう。最後の方で分かるのだが、100本目の釘は打ち込まれなかったようだ。
この映画の良さは、淡々と流れるところだ。映像がきれいである。特に青い色がきれいだ。音楽が美しい。素朴で仄かに甘美である。その音楽に合わせた踊りが楽しい。川を進む船の上のダンスも魅惑的だ。それを楽しむだけでも十分である。後でごちゃごちゃ考えないほうがいいのだろう。

★★★ クララ・シューマン愛の協奏曲 サロンシネマ2
ヘルマ・サンダース=ブラームス監督作品。昔、ベルリンの壁崩壊前後を描いた「林檎の木」という映画を見た。内容は正反対の作品だが、どちらもうまくできている。が、この作品には時代背景といったものがもっとあったほうがいいのではないだろうか。映像の美しさも欲しいし、映像と音が合っていないところが目に付いた。エンドロールが文字だけになったときに音も全くなくなり、音楽の映画なのにちょっと寂しかった。など、気になるところはあったが、最初に書いたように、全体的にみるといい映画だと思う。主要な役者三人がいい、特に、クララ役の女優は素晴らしい。映画とは関係ないが、クララとブラームスの関係は実際のところ如何だったのだろう。14歳の年齢差は、今と違い当時はかなりのものだったのではないだろうか。

★★★ プール シネツイン2
小林聡美*もたいまさこ、の独特な世界。タイ、チェンマイの、ゆったりとした空間と時間の中で、実はそれほど尋常ではない生き方が描かれている。舞台の自然や風物は美しく表現されている。今回は、主人公の特異さが十分に説得力を持っていないのが、少し残念な点である。主題歌がいい。「だんだん薄くなっていく僕たちの影」「だんだん遅くなっていく僕たちの時間」

★★★ 空気人形 シネツイン1
空気人形が心を持ってしまうというファンタジー、とくれば、どのような混乱が起こるのだろうと想像する、が、凡人が考えるようなことは起こらない。映画に登場する人物たちはこのことに何の違和感もないようだ。だから、観客は、空気人形にではなく、空気人形が接する人間の方に違和感を抱くようになる。中が空気だけの人形が心を持ち、色々持っているはずの人間の心が虚無である。分かりやすい対比を更に鮮明にしているのが、元国語教師の話である。吉野弘の詩二編、「生命は」、「I was born」。特に後者の蜻蛉の話は強烈だ。みえみえの寓意だらけだが、最後の不燃ゴミと可燃ゴミは効いてる。一見の価値充分にあり。個性的な俳優が多数出演し、疎外され、心に空虚を抱いた現代人を名演しています。

★★★ カムイ外伝 109シネマズ広島シアター4
昔懐かしい(と言っても、カムイ伝の方は未だ完結していないはず?)漫画の映画化ということで期待して行きました。原作は全て読んだと思うのですが、そして、この映画の原作になった外伝第二部のスガルの島はビッグコミックでリアルタイムで読んだはずなのですが、見事に何も覚えていません。まあそれだから、新鮮な気持ちで見ることは出来ました。そして、軽快な展開で、楽しむことができました。
気になった点をいくつか。CGが使ってあると、それらしい場面の以外にも疑いを持ち、自然の美しさに対して素直に感動できない。私がカムイに対して昔から固定観念を持っているためか、松山ケンイチのカムイに違和感を持ってしまう。カムイの世界は終わりのないものではあるが、映画が終わった時には一定のカタルシスが欲しい。と勝手なことを書きましたが、十分に見る価値のある映画です。
P.S.ちょっと残酷な映像があります。

★★ 私の中のあなた Toho Cinemas 3
ホームテレビのポルポル倶楽部で試写会をゲット。
白血病の娘を救うために、ドナーとなるべき子供をつくる、という、どこかで聞いたようなお話だ。次女の苦悩は理解できる(芝居はうまくない)が、母親の一途さは理解しがたい。それは母親の人間像を創り損ねているからではないか。一番悩み苦しむはずの母親があれでは、見ている方が共感を覚えない。長女の彼氏役が光っていた。

★★ サマーウォーズ バルト11シアター2
凄く期待して行ったのに、ちょっとガッカリ。
ヴァーチャルな世界のキャラクターは、何らかの形で現実世界と絡むことによって感動を引き起こすのではないだろうか。この作品は、二つの世界が、対比はされているが、交わることはなく、現実世界の良さだけで持っていると感じた。その現実世界もかなり漫画的に過ぎるところが見られる。この映画、近い未来への警告なのか、古き良き時代の日本への郷愁なのか。

★★★★ ディア・ドクター シネツイン2
西川美和は凄い。「ゆれる」も、「蛇イチゴ」も、「夢十夜」の第九話も、なかなかいいと思ったが、この作品はそれ以上です。色々なテーマがテンコ盛り、まさに今現在の日本社会なのでしょう。地域医療、過疎、高齢化、独居老人、医者の研修、医者の使命、人の死に方、人に生き方、人の矜持、人の弱さ、人の自己愛、人の自己保身、人の醜さ、などなど、相変わらずどれにも結論めいたものはありません。それがまたいいのですが、何となく一定の方向性は垣間見えます。最後に少し、幻想のように、明るさを見せるという所は前二作と同様ですが、ここだけは三作の中では一番出来がよくありません。
キャストも素晴らしい役者ぞろいです。特に、八千草薫、いいですね。
映像もきれいです。日本の自然は美しいと感じさせられます。
私の現住所の近くに監督の実家があるようです(同じ区というだけで、どのくらい近いのかは不明)。こんなことでも親しみを感じる理由にはなります。文学賞の候補にもなっているようですが、映画の方に期待したいと思います。

★★ アマルフィ Toho Cinemas 7
惹き付けるものはあるのだが、謎解きの段階でちょっと突っ込みを入れたくなるところが幾つか出てきて興をそがれた。音楽に関しても、確かにサラ・ブライトマンは素晴らしいが、本人まで登場させ、最初から最後まで使うのはどうなのか。おまけに彼女の映像が鮮明でないのはどうして。そして一番期待していたのが、イタリアの景色だったのだが、アマルフィの映像以外、美しいものがあまりなかった。と、不満ばかり書いたが、久し振りに見たので、矢張り映画はいいと改めて思った。

★★★ 重力ピエロ シネツイン1
伊坂幸太郎のゴールデンスランバーを読んで、この映画を見に行く気になった。そして、彼のエンターテイナーとしての才能を再確認した。ただ、映画がどのくらい原作に忠実なのかは分からないが。
ストーリー的には、レイプが根底にあることとそれに対する世間の偏見に居心地の悪さを感じた。最後に多少すっきりはしたが。小日向文世がハマリ役で、その他の役者もピッタリだった。セリフも素晴らしく、「春が、二階から落ちてきた」や、「神様に聞いた」のリフレインが効いている。
楽しそうに演技をして重力を消すサーカスのピエロ、重力は重荷?
仙台らしい、と思われる映像がほしかった。

★★★ 愛を読む人 バルト11シアター2
久し振りに、試写会が当たりました。それも、インターネット応募で。
映画はなかなかに面白いものでした。様々なテーマが盛り込んであって、焦点が定まらないきらいはありますが、最後にはうまくまとめてあります。決して軽くないテーマばかりですが、不思議に見終わったとき、これでよかったのだろうという気になります。

★★★ GOEMON Toho Cinemas 1
この時代のユニークな人物を独特の関係で結びつけ、まあいいかと思わせるところにこの映画の面白さがある。しかし、それ以上に破天荒なのが、装置や大道具、小道具である。まず、こんな金庫があの時代に!ということから、出るわ出るわ、ギリシャにローマ、ヨーロッパだけではなくアフリカ、勿論アジアも。それでも、まあいいかと思わせるところが凄い。要は、登場人物が生きているので、ドラマが成立しているのだろう。例えば、本能寺ってあんなロケーションか、というような突っ込みはいれずに見ると、十分に楽しめます。

★★ 天使と悪魔 Toho Cinemas 2
面白く、楽しめる映画です。テンポが速く、ずんずん引っ張られていきます。「ダビンチ・コード」は本を読んだので映画は見ませんでした。今回は逆で、原作はどうかわかりませんが、映画には分かりにくいところはありません。CGがどの程度使われているのかはわかりませんが、美しいローマ(バチカン)も堪能できます。でもこれは典型的なハリウッド映画です。反物質などというものは全く必要のない装置でしょう。

★★★ いのちの戦場 サロンシネマ1
主演のブノワ・マジメルが立案した、アルジェリア独立戦争の映画。アメリカがベトナム戦争の映画を作っているのに、フランスは?、という思いがあったようです。
理想に燃えたフランス将校が戦争の現場に出て・・・、という作品です。アルジェリアの荒涼とした山岳地帯が舞台で、映像の美しさはありません。アメリカはベトナム戦争をなんとか美化しようという動きがありましたが、この映画はアルジェリアで死んだフランス人は犬死という見方をしているようです、だから、暗い雰囲気が漂っています。考えさせる映画です。

★★ ディファイアンス サロンシネマ1
英語の defiance には大きく二つの意味がある。ジーニアス英和辞典によると、ひとつは、「無視」、派生して、「冷淡」、「軽蔑」という日本語に相当する意味合いもある。もうひとつは、(権力・敵対者などに対する)挑戦[反抗]的態度、公然たる反抗、挑戦、という意味がある。うまく日本語にならない、というのならまだしも、ポスターには、「生きるための[抵抗]だった」の抵抗に「ディファイアンス」というカナがふってある。ならば、訳の判らないカタカナを使わずに、最初から「抵抗」というタイトルにすればいいのではないか。映画のタイトルには、意味不明のカタカナが多過ぎるのではないだろうか。
さて、映画であるが、ユダヤ人のナチスに対する抵抗である。舞台はベラルーシ。これまでと違うのは、ユダヤ人がユダヤ人を救うというところである。さらに、指導者(主人公)を美化せず、悩み多き暴走もする人間として描いている。惜しむらくは、今一つ惹き付けるもの、大きな盛り上がりがないことだ。ダニエル・クレイグは、007よりはこちらの方が合っている。

★★★ プラスティック・シティ 横川シネマ
アンソニー・ウォン、オダギリジョー、主演、中国=香港=ブラジル=日本、合作映画。ブラジルの自然、都市の映像が素晴らしい。贅肉がなく引き締まった流れもいい。
宣伝文句は、「血の繋がりよりも堅く結ばれた二人の男の“激しくも美しい”クライム・ストーリ」。劇中、オダギリジョー演じるキリンが呟く、「なぜ父親が必要なのだろう?」。映画には答えがない、だから私が答える、「乗り越えるため」。

★★ スラムドッグ&ミリオネア Toho Cinemas 5
アカデミー賞作品賞など多数の賞を受賞した作品。さすがによくできた映画である。クイズミリオネアを大枠に、インドの過酷な現実を描く、のかと思ったら、純愛映画の趣を呈し、最後はインドミュージカル映画になる。確かに楽しめて、よかったヨカッタで終わるのだが、よく考えると、何が良かったのかよく分からないし、途中で提示されたインドの現状はどうなるのか、ほったらかしのままである。自然の景色も都市の景観も心を打つものがあり、見て損のない映画ではある。

★★ チェ/39歳 別れの手紙 Toho Cinemas 6
この後半も、ある程度の予備知識がないと理解しづらいと思われる。さらに前半よりも徹底したストイックな描写が続き、ゲバラが好きではないと面白くないだろう。
見ていて、先日の「連合赤軍」とダブってしまった。革命は民衆に支持されないとうまくいかない。ゲバラが人民を愛している、というようなことを言っていたのが印象的だった。
前半と後半の間の抜けた部分、ゲバラが何故キューバを去ったのかを描いてほしかった。そして多少とも元気が出る要素がほしかった。

★★★ チェンジリング WMC4
ヒューマンドラマと思っていたが、これは社会派ドラマである。白と黒がハッキリしすぎている感はあるが、その分安心してみることができる。しかし、こんな時代があったのだと思ってはいけない。これは現代に対する警告でもある。現代の我々も、あからさまではないが似た状況にいる可能性が大である。

★★★ 禅 ZEN サロンシネマ2
曹洞宗開祖道元を描いた作品。分かりやすい映画である。音楽もいいし、日本や中国の景色も美しい。惜しむらくは、このような作品では仕方のないことかもしれないが、主人公を美化しすぎているきらいがある。道元は修行の過程でもっと苦しんだのではないだろうか。そのあたりがもっとリアルに描いてあれば、さらに感動的なものになったであろう。

★★ 実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 サロンシネマ2
全共闘にいたるまでの描写は短く、うまくまとめてある。その後はじっくりと丁寧に破滅に向かう道程を追う。しつこいぐらいであるが、見ていて変な気分になった。その状況、実は今われわれが置かれている状況と同じような気がしてきたのだ。あくまで状況である。彼らは間違いなく狂っていた。同時代に生きた者から見ても何ら弁解の余地はない。だから、この映画は何を伝えたかったのか、いまひとつよく分からない。最後の少年の叫び、「勇気がなかったんだ!」は問題を矮小化している。この問題の「総括」はまだ終わっていない。その世代にとっても(逃げてはいけない)、他の世代にとっても(非難ばかりではいけない)。だから、未来が見えてこない。その意味では、この映画がきっかけになるか。

★★ チェ/28歳の革命 シネツイン2
1967年、ゲバラはボリビアで捕まり銃殺された。そのころ日本の大学では全共闘運動が盛り上がりつつあり、彼は物凄い人気だった。肖像画が至る所に張られ、著作が多数翻訳された。
この映画は、そんな彼を知らないと面白くないのではないか。「モーターサイクル・ダイアリーズ」とこの映画のあいだを知らないと焦点がぼけたように思うのではないだろうか。その意味では、この映画はいい映画とは言えないだろう。
さらに、この映画は二部構成になっている。評価は後半を見てからすべきだろう。

★★★ おくりびと サロンシネマ2
この時期サロンシネマが去年の名画を再上映します。とても有難いことです。
この映画はとても素晴らしい出来だと思います。まず、脚本がいいのでしょう。もちろん監督もいいし、役者もいい。特に、山崎努は出色です。庄内平野、月山、感動的な景色です。
多少喋らせ過ぎの所もありますが、全般的にはセリフを抑え、自然に流れを追って行くようになっています。最後は、少し余韻を残しつつ、ホッとする収束(終息)感もあります。
一つ気になったのは、納棺師に対する偏見はあんなに強いのか、逆に描き方が美化され過ぎていないか、ということです。